「絶対に金メダルを取りたいという気持ちは特にありません」
五輪での金メダル争いでも羽生はその中心にいる。
「ここ数年の成績で頭一つ抜けているのが、昨季の世界選手権覇者のネイサン・チェン(22・米)。そこに続くのが羽生です。この2人はショートとフリーの合計スコアが320点くらい出ます。第2グループが宇野昌磨(23)、鍵山優真(18)、ヴィンセント・ジョウ(21・米)の3人。彼らは300点台は出せるが、トップの2人との差は小さくない」(前出・折山氏)
羽生は今年7月のアイスショーに参加した際、「平昌のときのように、絶対に金メダルを取りたいという気持ちは特にありません」と発言している。だが、人一倍負けず嫌いな羽生だけに、北京で勝つための最善策を考えているのだろう。
元トップ選手が語る。
「フィギュアスケートでは、大事な試合に調子を合わせるピーキングが特に重要。全日本に全力を出すと、五輪に影響が出る可能性もあるため、あえてパスする選択肢もあるでしょう」
五輪での勝利のために絶対に必要な存在
そして羽生にとって、五輪での勝利のためにもう一つ絶対に必要な存在がある。
「母の由美さんです。国内外の試合に必ず帯同してきた。羽生はパンがダメで、海外でも米の食事が必須。由美さんは海外でもご飯を炊いて、おにぎりを用意してきました。1人で練習し、コーチの指導や振り付けもリモートで受ける状況の中、一番羽生の状態を把握しているのが由美さんで、実質的なコーチとも言えます」(前出・記者)
だが、北京五輪は関係者を徹底的に隔離する「バブル方式」で行われる。
「IOCが発表した『プレイブック』では、選手に選手村への滞在を強く要請し、毎日PCR検査を行うことなどが盛り込まれていました。ゼロコロナ政策を取る中国では、東京五輪よりも運用が厳しくなりそうで、観客も中国居住者だけ。由美さんがコーチ登録でもしない限り、羽生の身の回りの世話をするのは難しいかもしれません」(同前)
前人未到の冬季五輪3連覇のカギは母が握っている。