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「藤井さんに勝てた理由は一言で言えます」将棋界の“地球代表”深浦康市九段が明かす、藤井聡太四冠の攻略法

source : 文藝春秋 2022年1月号

genre : エンタメ, スポーツ

 4連勝のストレート勝ちで史上最年少の四冠に輝き、現在は最年少の五冠に挑んでいる将棋界の若きスター、藤井聡太氏。

 あまりの強さにネット上でファンから、将棋の星に生まれた「将棋星人」とも呼ばれている藤井四冠に、唯一、2勝以上、勝ち越しているベテラン棋士をご存じだろうか。

 将棋星人に対抗できる「地球代表」という異名をとる深浦康市九段がその人だ。

深浦康市九段

 10月、NHK杯将棋トーナメントで藤井三冠(当時)を破り、対戦成績を3勝1敗とした深浦九段。その周到な戦略を「文藝春秋」1月号(12月10日発売)で語った。

「私が藤井さんに勝てた理由は一言で言えます。それは、『藤井さんが強いから』」

 いったいどういうことなのか。深浦九段に解説してもらおう。

 まず、深浦九段は自分のフィールドに引き込む戦略を練った。

「この対局では、私は主導権を握りやすい先手番だったので、自分が得意な『雁木(がんぎ)』と呼ばれる戦法をぶつけてみようと決めました」

 この「雁木」は「藤井さんの得意な型ではありません」という。

 次にAIで徹底的に事前研究をしたという。

藤井聡太と対局する深浦

「実際の対局も想定通りに進みました。だから序盤から藤井さんが持ち時間を使ったのに対して、私はほとんど時間をかけずに指し進めることができました」

 さらに深浦九段は奥の手を準備していた。

「中盤、私は藤井さんの陣地に一気に攻めこんだのですが、このとき私は、将棋界では指されたことのない新しい手をぶつけました。過去に指された形だと、藤井さんも想定していると思ったからです」

 ところが、新しい手をぶつけられた藤井氏が驚異的な対応を見せた。

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