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2021/12/11

雅子さまが愛用された、ハーバード時代の思い出の椅子

 今回の特別展のために書斎から出して来られた辞書は、雅子さまの青春時代から現在までを見つめてきたものだった。辞書の他には、2006年の歌会始の歌を題材に制作された、かな文字の書と、ご婚約後にハーバード時代の友人からお祝いで贈られたという、見るからに頑丈そうな木製の椅子を出品されていた。

 椅子は雅子さまが大学の寮で使われていたものと同型で、背もたれに雅子さまのお名前と卒業年次、大学のエンブレムが彫られている。雅子さまは、東宮御所の陽が射す窓際に椅子を置き、そこで束の間の時間を過ごされることもあったそうだ。

ハーバード大学ご卒業 宮内庁提供

留学のご経験がある史上初の天皇

 陛下は、留学のご経験がある史上初の天皇だ。学習院大学大学院在学中の1983年6月から85年10月まで、英国のオックスフォード大学マートンカレッジで、「17、8世紀における英国テムズ川の水運」を研究テーマに滞在された。今回展示された全身を覆う赤のローブと黒の帽子は、名誉法学博士号授与式で着用されたもので、衣装の側には、実際に陛下が着用なさった当時の写真が添えられている。

 雅子さまも外務省時代に研修留学で、オックスフォード大学ベリオールカレッジで学ばれた。展示会場を回られながら、お二人は英国の留学時代を振り返られ、卒業後も御所などでお会いしていた陛下の恩師ピーター・マサイアス教授の思い出話をなさるなど実に楽しそうだったという。

オックスフォード大学ベーリオールコレッジご留学 宮内庁提供

「陛下にとって、英国留学はそれまでの生き方と違って、ご自分で考え、自由に行動することを経験された重要な時期です。ご自身も『おそらく私の人生の中で、最も楽しい時期』とお話しになっているように、英国での思い出は尽きないのでしょう。今でも、ご自身が撮影したオックスフォード市内の街並みの写真をご覧になって振り返られることがあるそうです」(当時の護衛官)

ロンドン郊外のウインザー城にある王室図書室で、エリザベス女王から日本ゆかりの品々について説明を受けられる皇太子さま(当時)

 幼少期の陛下は、赤坂御用地という閉じられた世界の中で成長されながら、外の世界への関心を持ち続けておられた。水運にご関心を持たれたきっかけは、小学生の時に赤坂御用地内で鎌倉古道の跡を見つけたことだったという。陛下は「道」の魅力について、そこをたどって行けば未知の世界に旅立つことができるからと振り返られている。母親である上皇后陛下とご一緒に松尾芭蕉の『奥の細道』を読まれ、古の旅人たちの足跡に思いを馳せたこともあるという。

#2に続く)

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