「相手を急がせない、ご自分も急がない」
陛下は常にご自身の感情をコントロールされ、「相手を急がせない、ご自分も急がない」という姿勢を断固として貫かれた。批判にさらされる中で難しいことだったにちがいない。「もともと精神的にタフな陛下ですが、これまで以上の忍耐を学ばれたのではないか」と元宮内庁職員は語る。
「相手を急がせない、ご自分も急がない」
という陛下のご姿勢は、愛子内親王殿下に対しても一貫していたという。
天皇陛下は「無理をしなくても。行きたくなったら」
「愛子さまは小学生の時に『学校に行きたくても行けない』という状態になられた。それで雅子さまが付き添われて、行けるようになったことがあります。『行きなさい』と叱った雅子さまに対して、陛下は『無理をしなくても。行きたくなったら』とおっしゃったそうです。両陛下は相談を続けられ、今できる最善の策として、付き添いという手段を選ばれた。学校生活が送れなくなったら、大人になってからも社会との関わりが難しくなるのではないかとお考えになったそうです」(元東宮関係者)
学習に関しても遊びに関しても、興味を持たせるような環境は作られるが、強制は決してなさらない。親が良いと思っても、子どもの意見を尊重する。愛子さまが質問をなさった時には答えられることもあるが、ご一緒に楽しみながら調べて学ばれることもあった。
例えば、愛子さまが漢字にご興味を持たれたのは4歳の頃だった。人の名前を記憶されてお書きになるようになり、難しい漢字が書けると喜んでおられたという。昭和天皇や陛下がそうだったように、東宮職約50人の名前と顔も憶えたという。日本語の成り立ちにも興味を持たれたといわれ、4月には、学習院大学文学部日本語日本文学科に進学することが決まった。
今では古文書に興味をもたれて、くずし字の読み方辞典や歴史辞典などを使って読まれるほどになっている。陛下は会見で「進路については、本人から私たちにも相談がありましたが、本人の意向を尊重しながら、できる範囲での助言をしてきたつもりです」と述べられた。