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マセラティから降りて警官に猛ダッシュでフェイント、高級マンスリーマンションは逮捕当日に引っ越し…  覚醒剤疑惑の吉原高級ソープ“代表”が警察から何度も“逃亡”できたワケ

吉原ソープ“代表”覚醒剤裁判ルポ #4

genre : ニュース, 社会

 いま、東京都台東区・吉原の風俗業に携わる人々が、動向を注目している裁判がある。被告人は、東京都内に住む会社役員の男、A(50)。暴力団との関係も噂されるAは、高級ソープランド「X」を“代表”として仕切りソープ嬢とシャブセックスを行うなど、吉原で恐れられている。

 Aは2019年12月から翌20年1月にかけ、東京都ほか複数県内において覚醒剤を使用したとして起訴された。しかし弁護側は「被告人がこの期間に故意に覚醒剤を使用したことはなく、逮捕に至る手続きに重大な違法がある」と無罪を主張している。(全2回の2回目。前編を読む

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取り締まり中に逃亡を図ったA被告

 2020年1月8日、ようやく逮捕の日を迎えるが、捜索には愛宕署の暴力団犯罪捜査にあたる刑事らが多数動員された。別の刑事がこの日にかけた意気込みを振り返る。

「捜査の過程で逃走があったので、逃走や証拠の隠滅はあるだろうと、いつも以上に緊張感を持って臨みました」(12月1日公判・D刑事の証言)

 なんとA被告は、愛宕署が彼を捜査する中で逃走していたことがあったのだという。しかも一度だけではなかった。

「2019年7月下旬、『暴力行為等処罰に関する法律違反』で逮捕状を取り、逮捕に臨むが、姿を確認できず、1週間経っても捕まえることができなかった。その後、捜査員がA被告経営のフォトスタジオ周辺で内偵をしていたところ、その付近が縄張りの暴力団員から『Aを探してるんでしょ』と声をかけられました。察知され逃亡されたと思いました。

 また8月の下旬には、築地署管内でA被告が交通違反を起こし、取り締まり中に逃亡したと連絡があり、現場に行くとすでに逃走した後でした」

 と、B刑事は法廷で証言する。

確保に際し猛ダッシュで逃走

 たびたび逃げられ、ようやく迎えた1月8日だったのだ。しかし当日も、やはり一筋縄ではいかなかった。確保に際してA被告は、猛ダッシュで逃走をはかったのだ。

写真はイメージ ©️iStock.com

 当日、捜査員らはA被告の住んでいると思われる湯島の高級マンスリーマンション付近の駐車場に、車両2台に分かれ待機していた。そこにA被告の乗っている白いマセラティがやってきて、マンション駐車場に停車した。被告は車を降りてマンションの方へ歩き出す。刑事らはそれぞれ車を降り、マンションの東側に身をひそめ確保のタイミングを待っていた。証言した刑事はひとり、西側で待機していた。

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