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夫婦の関係性は「まるでお嬢様と召使い」

地方では、男女関係も家族関係も、古い価値観に縛られています。

都市部に比べてDVや虐待に対する問題意識も薄い。いまだに男の子に対する虐待を、しつけと捉える人は少なくありません。その理由は、男の子は強くないといけないから。女性のDV被害者や、虐待される子どもも救い切れていないのに、社会問題としてまだ広まっていない男性に対するDV、モラハラ被害をどうするのか……。

被害者となった妻にしても、仲のいい同僚には夫の愚痴を話していましたが、世間体を気にして離婚するつもりはなかったようです。離婚を考えるどころか、マイホームを購入しようとしていた。

一方の夫も、クルマを運転できなくなった負い目を感じていたのか、妻の言いなりでした。裁判では夫婦関係を「まるでお嬢様と召使い」と証言したほどです。

もしも、きちんと向き合う機会があったり、悪口を言い合える関係だったりしたら、最悪の事態は避けられたかもしれないと思うのです。

社会から置き去りにされている犯罪加害者の子どもたち

――夫の逮捕後、幼い子どもはどうなったのでしょうか?

そこが男性の家族がもっとも懸念した点です。男性の家族はマスコミに追われ、これまでのような生活はできないだろうと考え、殺害された妻の実家に子どもを預けることにしました。

――夫婦間の殺人事件の場合、子どもの立場は複雑ですね。両親が被害者と加害者になるわけですから。

親が逮捕された子どものサポートは大きな問題です。岩手の事件では、母親の家族に引き取られましたが、引き取り手がいない場合は児童養護施設に入所します。犯罪加害者の子どもたちの受けた精神的なダメージを、どのように回復していけばいいのか。まだ調査はされておらず、十分なサポートを受けられない状況です。

世間が子どもに罪を背負わせてしまっている

――それでも阿部さんたちの活動を通じて、犯罪加害者家族に対する理解は、少しずつ広がっているように思います。