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時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇「殺すな」 いよいよ劇場上映・テレビ初放送!

中村梅雀、柄本佑、安藤サクラ豪華俳優陣が語る時代劇の魅力

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 時代小説の名手・藤沢周平が描く男と女の愛憎劇、珠玉の短篇「殺すな」(新潮文庫/実業之日本社『橋ものがたり』所収)を名匠・井上昭監督が豪華キャストで映像化した。封印した過去をもつ浪人を演じるのはベテラン中村梅雀。そして、世間の目を避けるように裏店に暮らす若い男女を柄本佑と安藤サクラが演じる。三人それぞれの思いを乗せて、運命の小舟は流されていく。その流れの先に待ち受けていたものとは……。

 文春オンラインでは劇場上映・テレビ初放送に先だって、「殺すな」に出演した俳優陣のスペシャルトークを3週にわたって掲載する。第1回は主演にして物語の要となる浪人・小谷善左エ門を演じた中村梅雀。名匠・井上昭監督が手がけた時代劇「殺すな」の魅力を語ってくれた。

第1回
中村梅雀 俳優
画面の隅々にまで情感がこめられた
濃密な作品。繰り返し観たくなるはずです。


なかむら・ばいじゃく 1955年、東京都生まれ。祖父に三世中村翫右衛門、父に四世中村梅之助を持ち、9歳で初舞台を踏む。80年、前進座に入座、曾祖父が名乗った梅雀を二代目として襲名。2007年、前進座退団後は数々のドラマで主演を務めるなど多方面で活躍

――梅雀さんはこれまでに、井上監督が手掛けたオリジナル時代劇「鬼平外伝 夜兎の角右衛門」「冬の日」で主演を務めておられます。今回「殺すな」への出演も、やはり井上監督作品ということが大きかったのでしょうか?

梅雀 そうですね。井上監督の作品であれば、通行人役でもいいから出たいと(笑)。それは昔から監督と約束しているんです。現役監督としては最高齢の93歳の今でも、出演者と同じレベルに立って話ができる。なんて魅力的なんだろうと思います。「よーい、スタート!」で始まって、「カット!」。あの若々しい声にしびれます。

――オリジナル時代劇1作目にあたる「鬼平外伝 夜兎の角右衛門」では、石橋蓮司さんと梅雀さんとの長回しのシーンが話題になりましたが、今回も長いシーンをワンカットで撮影するということはあったのでしょうか。

梅雀 酒に酔った柄本さんとのからみのシーンは長回しでしたね。役者にやらせてみて、これはいけるとなったら、「うん、ワンカットでいこう」とすぐに決断する。今、あんなふうに撮れる監督は、なかなかいませんよ。みんな細かくカットを刻んでいくことが多いです。長回しで、情感をこめて、ひとつの世界をつくりあげるというのは、本当に勇気がいることなんです。

――俳優としては、その監督の勇気に応えようと……。

梅雀 役者を信じてくれるわけですからね。集中力が全然違ってきます。それは出演者だけじゃない、スタッフ全員がそうです。監督の呼吸、目線を察知して、一斉にウワーッ!と動いて、ワンカット用に全部揃える。その現場の熱気というのはすごいですよ。

――今回は柄本佑さん、安藤サクラさんとの共演ということですが、お二人の印象はいかがでしたか?

梅雀 思ったとおり、お二人とも俳優として素晴らしいDNAを持っていましたね。しかも、それがちゃんと個性としてキラキラ光っている。本番に入ったときの集中力なんて、タダモノじゃなかったですよ。「ああ、いい役者と一緒に共演しているなぁ」と何度も思いました。それとお二人とは、井上監督と一緒にいる時間に喜びを感じているという、共有感が常にありましたね。この瞬間をみんなが大事にしているんだな、と。お父さんの柄本明さんも現場を見に来て、「出させてくれ!」って、お願いしたらしいんだけど、残念ながら今回は役がない、ということで(笑)。それぐらい監督のファンはたくさんいるんですよ。

――お二人に先輩としてアドバイスしたことはなかったのでしょうか。

梅雀 佑くんもサクラちゃんも、細かい所作とか、そういうことを訊いてくることはありましたよ。でも二人とも間違ったことは全然しないから、「うん、うん、大丈夫だよ」と。で、本番になると、息づかいとか唇の動きとか、すごくリアルだし、まるでその人物がそこにいるかのように思えてくるんです。藤沢作品というのは説明的な言葉が何一つないんですよ。裏の思いを説明するのではなく、想像させる。映像化する際にいちばん重要なのは、そこだと思うんです。それを出すには、本当に自分が思っているところから出てきたリアルなセリフがいちばん説得力がある。そういう意味では、二人の自然体の演技というのは素晴らしかったですね。

――いわゆる時代劇口調ではない、リアルな台詞回しですか。

梅雀 「何が何して……」みたいなのは、歴代のスターたちがつくったものなんですよ。あれがダメだと言って時代劇を離れてしまった人もいただろうし、現に僕も父・梅之助の時代劇には絶対出なかった。オファーは全部断っていましたからね(笑)。もちろん時代劇をやっている以上、必要な所作はあります。武士には武士の、町人には町人の、身体の持って行き方というのがあるんです。歌舞伎をやっていたときに、祖父や父、亡き吾妻徳穂先生から厳しく指導されました。そういったところをきちっと伝えていくのが自分の役割だと思っていますが、若い二人の自然な演技を見ていて、もっとリアルに、もっと自由に、自分の感情を表現できたらいいなぁと、つくづく思いました。

――今回の作品は劇場上映とテレビ放映がほぼ同時展開ということですが、それについての期待感というのはありますか。

梅雀 実は1作目の鬼平外伝も、「これ、劇場でやればいいのに」と出演者全員で言っていたんですよ。いろいろな事情があって、そのときは実現できなかったんですが、今回、現場に行ったら、映画スクリーン状態のモニターが置いてあるじゃないですか。それを見たとたん、いきなりシフトが変わったんです(笑)。グーッと寄った細かい表情も、ドーンと引いた美しい景色も、大きなスクリーンで観てもらえる。52分というコンパクトな時間のなかに、井上監督ならではの細やかな情感表現が盛り込まれた濃密な作品ですから見ごたえは十分。テレビで観た方も、きっと劇場の大きなスクリーンで観てみたいと思うはずです。これがきっかけで、もっと時代劇を観てみたいという声が上がってくるといいですよね。

*第2回のゲストは柄本佑さんです(1月15日公開予定)。

Information

©「殺すな」時代劇パートナーズ
©「殺すな」時代劇パートナーズ

時代劇専門チャンネルを運営する日本映画放送株式会社が時代劇パートナーズとともに制作したオリジナル時代劇最新作「殺すな」。作品は2022年1月28日(金)から全国のイオンシネマ89館で劇場上映、さらに2月1日(火)には時代劇専門チャンネルでTV初放送される。劇場上映とテレビ放送ほぼ同時展開は史上初!
時代劇専門チャンネル「殺すな」公式サイト
https://www.jidaigeki.com/korosuna/