文春オンライン

source : 提携メディア

genre : 社会, 国際, 人生相談

上間教授が言うように、沖縄は米軍統治下にあった時期、バースコントロールが限られており、「堕胎罪」があった。中絶は犯罪だったのである。したがって、妊娠したら出産するしか選択肢がなかった。琉球政府統計年鑑を見てみると、全体的に堕胎罪は少なく、多い年でも3件ほどだった。こうして考えてみると、「妊娠したら産まなきゃいけない」という強迫観念が沖縄の女性に根付いていったと言えるのではないだろうか。

筆者がかつて属していた地元のコミュニティもまた、「中絶する」という選択肢は、ほとんどなかった。今回は、知人らの体験を基に沖縄県のひとり親の現状を紹介したい。

「嫌われたくない」という思いで避妊できず…

中学時代の同級生の多くは、10代の頃に出産した子どもの父親(遺伝上の父親であり、実際の結婚相手とは異なる)に逃げられたり、離婚したりしている。違う男性を渡り歩き、子どもが増えていく傾向にある。遺伝上の父親が違う子どもが2人いることは当たり前で、5子全員違うなどのケースも珍しくない。

そのうえ、日雇い労働など雇用が不安定な男性や、違法なやり方でお金を稼いでいる男性と交際したり、再婚したりすることが多く、収入が安定していないことも共通している。この状況だけ書くと、多くの読者は「自己責任」だと感じるかもしれない。

しかし、本当に自己責任なのだろうか? 河野氏は県民の性教育が足りないと指摘するが、避妊は必ずしも女性側だけの問題ではない。とりわけ、10代の交際はパワーバランスが男性のほうが強く、急に避妊しない性行為を要求されたら断れないこともある。嫌われたくない、離れたくない、ひとりになりたくない。10代女性の複雑な感情が断れなさを生んでいる。

その過程で男性に逃げられたり、離婚したりすると精神的な不安は大きくなる。経済的に不安定な状況にも大きな悩みを抱える。そして、誰かに頼りたくなるし、依存したくなるし、最終的には男性がいないと自分の存在価値そのものに不安を感じてしまう。こればかりは、同性のコミュニティでは、どうにもならない問題なのだ。