松下氏の事務所は「X氏はボランティアの一人」
いまや、X氏は資金集めや通訳業以外でも松下氏に同行しているという。
「外交顧問の枠を超え、松下氏の欠かせない右腕となりつつあります。ですが、まったくの無報酬だと聞いています」(自民党関係者)
無報酬であれば、法的問題が浮上する。政治学が専門の岩井奉信・日本大学名誉教授が解説する。
「政治資金規正法では、企業による秘書給与の肩代わりも政治家側への寄附に当たるとされます。X氏が帝王商事に在籍し、そこから報酬を得ていながら、週に何度も無報酬で事務所業務に秘書として従事している場合、まさに秘書給与の肩代わりとみなされます。その負担額は企業から政治家側への寄附に当たり、収支報告書に記載をしなくてはなりません」
しかし、松下氏の収支報告書には帝王商事からの寄附の記載は一切ない。
「記載すべき寄附を故意に記載しない場合、5年以下の禁錮または100万円以下の罰金とされています」(同前)
松下事務所に質問状を送ると概ね、次のような書面回答があった。
「(X氏ら外交顧問に)常時事務所の事務をしていただくことはなく、分からないことがあった時にお尋ねし、好意で教えていただく程度。報酬も発生しないし、給料などもない。(X氏は)そうしたボランティアの一人であり、外資系企業による給料の肩代わりというご指摘は事実に反する」
ただ、小誌の取材では、X氏が平日5日のうち、2~3回は事務所に出勤し、長時間滞在して電話をかけたり、夜の会食でも松下氏に同行するなど、実質的に秘書業務を行っている実態が浮かび上がっている。
拡大主義の行動をとる中国に対して、アメリカを筆頭に各国が警戒を強める中、与党自民党の国会議員が、中国人女性を「外交秘書」とし、政治資金集めにも関与させていたことが判明したことで、岸田文雄首相や自民党がどのような対応をとるのか、注目される。
12月15日(水)16時配信の「週刊文春 電子版」および、12月16日(木)発売の「週刊文春」では、「マオタイ酒タワー」が用意された12月2日の松下氏のパーティの詳細、X氏と松下氏との親密さを示す写真や重要証言、松下氏のパーティ券収入が2.5倍になった背景、X氏への直撃などを5ページにわたって報じている。
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