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2021/12/20

source : 提携メディア

genre : エンタメ, 芸能, 読書, 社会, ライフスタイル

 

──本書で宇垣さんがご紹介されていた『ブルーピリオド』(アフタヌーンコミックス)では、主人公の八虎が「好きなことをやるっていつでも楽しいって意味じゃないよ」と悩むシーンがありますが、宇垣さん自身も八虎のようにプレッシャーや悩みを抱えたことってありますか?

宇垣 私がやっていることって「布教」に近いんですよね。好きなものをみんなに知ってほしい!という気持ちでやっているので、そこで私を評価してほしいとはあまり思っていないんです。だからこそ、そこまでプレッシャーを感じたりつらい気持ちになったりしないのだと思います。

あと、私は何かを生み出すことがあまりないので、八虎が抱える生みの苦しみのようなものもないんですよね。

──「拝啓、貴方様」では、八虎のように生みの苦しみのようなものがあったのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

宇垣 そうですね。最初は「小説を書いてほしい」というお話だったのですが、当時の私には荷が重くて。毎回書くのであれば、誰かへの手紙だと思えば書けるんじゃないかなと思ったんです。

手紙がモチーフの小説って、三島由紀夫さんの『三島由紀夫レター教室』(ちくま文庫)や森見登美彦さんの『恋文の技術』(ポプラ文庫)とかいっぱいあるじゃないですか。どちらの作品もすっごく大好きで、それで「手紙なら書けるかもしれない!」と思って書いたのが「拝啓、貴方様」誕生の背景です。

いろいろな人に手紙を書くという設定ですが、相手は実在の人だけではないし、実在する人を3人分ぎゅって凝縮したり、フィクションを交えて書いています。でもちょっぴり自分の現実も織り交ぜながら書いていたので、生みの苦しみというよりも気恥ずかしさみたいなものがあったと思います。

 

──どの手紙も、宇垣さんのその時々の感情がダイレクトに伝わってきて、読んでいて込み上げてくるものがありました。この記事を読まれている読者の方にどれかひとつおすすめするとしたら、どの回を選びますか?