昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

662人を日本に帰すため、ソ連兵の性的暴行に耐えた未婚女性15人の苦しみ 凌辱以上に彼女たちを傷つけた言葉

source : 提携メディア

genre : ライフ, 歴史, 社会

2020年(1~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。教養部門の第3位は——。(初公開日:2020年8月9日)

これからも語り継ぐべき戦争の記憶がある。作家の五木寛之氏は「戦争はどう始まり、展開したかという『大局』ばかりが話題になる。しかし、一人の兵士や、戦地で生きた個人の体験こそ戦争の真実であり、彼、彼女らの記憶こそ後世に『相続』されるべきだ」という——。

※本稿は、五木寛之『こころの相続』(SB新書)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/BeyondImages ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/BeyondImages

敗戦の混乱時、日本人女性が味わった性暴力の悲劇

現実社会に「表」と「裏」があるように、過去の時代にも「表」と「裏」があります。私たちが生きた同時代についての記述すらそうだから、100年前、500年前ともなればなおさらでしょう。その当時に生きた人が、歴史の教科書を読めば、仰天するかもしれない。「これは一体どこの国の話だ」と。

「一級史料があるから確実だ」などと言っても、その史料が時代の全体を語るわけではありません。最近になって、少しずつ敗戦時の旧満州や北朝鮮での「性接待」の話が語られるようになってきました。

平成25年4月、昼神温泉などで知られる長野県阿智村に全国で初めての「満蒙開拓平和記念館」ができました。戦前からの国策として満州や内蒙古に送り込まれた満蒙開拓団の史実を、風化させることなく後世に伝える拠点として、作られたものです。

開館以来、かつての開拓団の実像を伝える数々の資料を展示するほか、「語り部講話」として、当時の生き証人の体験談を聞く会が催されています。

とくにその中で、開館直後、2013年7月と11月にお話をされた岐阜県旧黒川村満蒙開拓団の2人の女性の悲痛な体験談が、大きな波紋を呼びました。

ソ連軍の要求は「若い女性」の接待役だった

この話をきっかけに、いくつかの雑誌や新聞も特集を組み、2017年には「告白~満蒙開拓団の女たち」(NHK・ETV)や、「記憶の澱」(山口放送)などのドキュメンタリー番組も放映されました。体験談と報道の数々から浮かび上がってくるのは、次のような事実です。