2021年(1月~12月)、文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。裁判部門の第5位は、こちら!(初公開日 2021年10月28日)。
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元タレントの木下優樹菜(33)が、2019年秋に実姉が働いていたタピオカ店の店長に恫喝めいたメッセージを送ったことから始まった“タピオカ騒動”。店長のAさんが木下に対して慰謝料等の支払いを求めた訴訟の判決公判が、27日に東京地裁で開かれた。
澤村智子裁判長は主文の冒頭で、「被告は、原告に対し、40万円及びこれに対する令和元年10月6日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え」と言い渡した。この判決を司法担当記者が分析する。
「Aさんが求めていた支払額は1000万円。内訳はほぼ全て慰謝料で、休業損害などは含まれていませんでした。40万円という判決は少なくも感じますが、損害賠償請求では全額が認められることの方がまれです。注目すべきは金額の多寡ではなく、『脅迫』が認定されたこと。民事事件なので刑事事件より認定のハードルは低いですが、それでも『脅迫』が事実と認められたことの意味は大きいでしょう」
“タピオカ裁判”は具体的にどのような争点があり、どう審判が下されたのだろうか。まずは、人気タレントが《事務所総出でやりますね》と恫喝した前代未聞のトラブルを、芸能記者が振り返る。
「ことの発端は2019年9月、木下さんの姉とAさんとの間で起きた給料の支払いを巡るトラブルでした。トラブルを聞きつけた木下さんが、インスタグラムでAさんに《弁護士たてて、法的処理、いくらでもできるからこれからの出方次第でこっちも事務所総出でやりますね》《いい年こいたばばあ》といった表現を含むダイレクトメッセージを送信。10月には、当時530万人のフォロワーがいたインスタのアカウントで、店名が記された商品の写真を添えて給料トラブルに触れた上で、《もうお店には行かなくて大丈夫です》などと投稿しました」
ダイレクトメッセージのスクリーンショットがTwitter上で公開されると、またたく間に拡散されて大炎上。メディアでも大きく報道され、世間の注目を集めた。木下は《いくら大切な家族のための事とは言え一方的な凄く幼稚な発言だったと思います》といった謝罪文を投稿したが鎮火には程遠く、11月には芸能活動を自粛。結局、翌年7月に芸能界を引退するまでに追い込まれた。
「木下さんは、騒動から数週間後には弁護士を通じてAさんに謝罪し、和解を持ちかけていました。元夫でお笑いコンビ『FUJIWARA』の藤本敏史(50)と実母とともに、謝罪のためにAさんの自宅へ足を運んだこともあった。しかし弁護士間での話し合いの場で、和解金として木下さん側が提示したのはたった50万円でした。Aさん側が1000万円の支払いを要求すると100万円までは増額しましたが、最終的に協議は決裂。今回の裁判に発展してしまいました」(同前)