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何万年も前に脳のごほうびシステムが出来上がった頃は、周りの人たちに好かれているかどうかが非常に大切でした。誰も1人では生きていけない時代だったからです。しかしその頃は、1時間に何百回も小さなドーパミンのごほうびをくれるスマホはありませんでした。私たちの脳は、スマホのような技術の進化についていけていないのです。ついていけていたら、スマホから手を離した時にドーパミンが出るようになっていたはずです。

ドラッグ(麻薬)も、昔の脳が想像もしていなかったような深刻な問題です。人をとりこにしてしまう様々な種類の薬物や、タバコに入っているニコチンなど、人間が依存してしまうドラッグのほとんどがドーパミンのレベルを上げてしまいます。体に良いことを何もしていないのに上げてしまうのです。ドラッグは体にも脳にも大きな悪影響があります。特に、長い期間とり続けると危険です。SNSにしてもドラッグにしても、脳が昔のまま進化していないために私たちは夢中になってしまうのです。

SNSやドラッグ以外の「ごほうび」

では、体に悪くないドーパミンの出し方はないのでしょうか。

もちろんあります。体を動かせば良いのです。

運動(しっかり体を動かす運動)をした後にはドーパミンが出ます。ドーパミン以外にも、幸せを感じるエンドルフィンが出ます。エンドルフィンには痛み止めの作用もあるので、運動した後に出るのは好都合と言えます。ここで言っておきたいのは、運動の後にもらえるドーパミンの方が、スマホからもらえるよりずっと量が多いということです。「ごほうび」をもらえるようになるには、ある程度の期間、運動を続けなければいけませんが、そのおかげで筋肉や肺や心臓も強くなります。

ドーパミンは昔、ヒトが食べ物を探し、狩りをしていた頃の「ごほうび」だったのでしょう。食べ物を探したり、狩りをしたり、もっと良い住処(すみか)を探して移動したりするためには体を動かさなければなりません。そのため、脳はその人が運動すると「良いことをした!」とごほうびをくれるように進化したのです。そのあとまたすぐに新しい食べ物や住処を探す必要があったからです。運動は確かに体にも良いのですが、脳にとっては別の意味で「良いこと」だったのです。