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「覚醒剤漬けでゴムを外され、もらえるのは1日3000円」日本人少女が堕ちたブラジル人マフィアの“違法売春”の実態《ミキが選んだ地獄とは》

2021/12/30
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 ナイジェリア人のぼったくりバーの潜入取材で薬を盛られ、違法売春に堕ちていく少女を目の当たりにする……。日本の裏社会に潜む外国人マフィアに接触し、その実態を取材したフリーライター、真樹哲也氏の著書「ルポ外国人マフィア 勃興する新たな犯罪集団」(彩図社)が発売から好評を博している。

 2021年8月には工藤会のトップに初めて死刑判決が言い渡され、裏社会に激震が走った。かつての勢いを失いつつある日本のヤクザとは反対に勢力を増す外国人マフィア。日本の深層を追ったノンフィクション作品から、一部を抜粋して転載する。

 群馬県で発生した暴力団同士の抗争の陰に外国人グループの存在がある事をつかんだ著者。その実態を掴むべく、管理売春地帯を取り仕切る外国人勢力がよく出入りをしているという群馬県太田市のパチンコ店に潜入。外国人勢力のボスの隣でパチンコを打っていると、ブラジル人薬物売人と付き合っているという18歳の日本人の少女ミキと出会う――。

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(転載にあたり一部編集しています。年齢・肩書等は取材当時のまま)

◆◆◆

「今日も覚醒剤をキメているのだろうか」

「あれー!」

 聞き覚えのある声がした。振り返ると笑顔のミキがいた。相変わらず、パサパサな髪、開いた瞳孔をしている。今日も覚醒剤をキメているのだろうか。

 横には、スマホの写真で見せてもらったことのある彼氏のペレがいた。悪そうな筋骨隆々のブラジル人男性のルックスは写真のままだが、予想以上に大きく感じられた。プロレスラーのような迫力だ。

 私は挨拶をする。外国人勢力のボスにも見られたので、軽い会釈をした。外国人勢力のボスは私のことを特に気にしていないようだが、ペレは無言だった。ミキの知り合いである私のことをよく思っていないのだろう。私を威嚇するような表情で見下ろしてくる。ミキはペレに耳打ちをして、何やら話をしている。さりげなく、ミキは私にウインクをした。余計なことを言うなとの合図だろう。

※画像はイメージです。©iStock.com

 

「ボス、当たってるねー」

 私の隣でスロットを打つ外国人勢力のボスにミキが話しかけた。知り合いなのだろうか。私は黙って、スロットを打ち続けることにした。

「当たったよ。今夜はパーティーだ」

 外国人勢力のボスが言うと、ミキとペレは声を上げて喜んだ。ミキは異様なほどハイテンションだ。

「ボス大好き。ペレのために仕事も頑張るからね」