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2022/01/02

成田亨の創造した神様を現代に

――『シン』のウルトラマンは、従来のもの以上に成田亨さんのデザインを踏襲したフォルムになっています。

樋口 成田亨さんの描いた「真実と正義と美の化身」という作品があるのですが、もうこれに尽きます。『ウルトラマン』という作品が、誰もがここまで長続きすると思っていない時代、成田さんだけは永遠のもの……新たな神様を作ろうとしていたんじゃないかと。あの絵を見たときにそう感じたんです。

 そんな存在が、何十メートルという大きさでこの世にいたらどう見えるかを考えたときに、やり方とかを含めて、従来の表現方法から全部見直すところから始めたほうがよいのではないかと。目の下の覗き穴や、背中のチャックなど、当時の撮影の都合などが絡んで現在の形になっていった部分をすっ飛ばして、今なら技術的にも純粋な形で成田さんの想いを形にできる気がしたんです。そこにチャレンジしたい気持ちは、スタッフみんな持っていましたね。

©「シン・ウルトラマン」製作委員会 ©円谷プロ

――怪獣は今のところ、特報でネロンガにガボラが出ていて、この2体は当時東宝怪獣のバラゴンのスーツを改造して作られたという共通点もありますが、チョイスの理由は?

樋口 CGは、まず3Dモデルを作る段階でかなりコストがかかるんですよ。着ぐるみ怪獣も同様にお金がかかるから、『ウルトラマン』で言うとレッドキングがアボラスに、ゴモラがザラガスになったように、着ぐるみを改造して新しい怪獣を生み出すという手法があった。じゃあ、僕らもそうしようかと、同じ着ぐるみから改造された2体の怪獣を使うことで予算の削減を図ったのですが、デザインしているうちにどんどん違いが増えていって(笑)。

――ほんとは予算の削減に繫がる予定だったのに(笑)。

週刊文春エンタ!』はローソン限定で発売中

樋口 結果的に予算も大変なことになっていくわけです。あと、先輩方と同じ苦労もしまして、ガボラのヒレがとにかくアクションには邪魔!という。

――3Dモデルですと、めり込んだりしますよね。

樋口 そうなんですよ。あとは戦わせようとすると、手に当たるとか。だから、飾りがある怪獣は、先輩たちの作品では「これだと撮影になんねえよ!」って、とっとと(ウルトラマンとの闘いで)もいじゃうんですよね(笑)。自分たちが同じ立場になると、「そうした」理由がよくわかる! 映画制作でありながら、写経をすることで先達の気持ちを理解する、みたいな部分があった(笑)。けっこう残酷なときがあるんですよね、ウルトラマン。

◆ ◆ ◆

『シン・ウルトラマン』の撮影現場には、『ウルトラQ』(江戸川由利子役)や『ウルトラマン』(フジ・アキコ役)でヒロイン役を演じた桜井浩子さんも見学に訪れたとのこと。その際、長澤まさみさんが発した言葉に、樋口監督は「すばらしいものが見れた」と思ったそう。果たしてその“一言”とはーー。

 現在発売中の『週刊文春エンタ! シン・ウルトラマン大予習!』では、樋口監督のインタビュー全文をはじめ、桜井浩子さんインタビュー、さらには『ウルトラマン』名エピソード集など、『シン・ウルトラマン』を楽しむための特集記事が多数掲載されています。

樋口真嗣(ひぐち・しんじ):
映画監督。高校卒業後に、『ゴジラ』(84)の現場へと参加。実写、アニメと多岐にわたり活動し、代表作に『シン・ゴジラ』(監督・特技監督)、『ローレライ』(監督)、平成『ガメラ』シリーズ(特技監督)、『エヴァンゲリオン』シリーズ(絵コンテ等)がある。

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