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現実的には、ほとんど建て替えは不可能となるのだ。

現行の区分所有法をはじめとした諸法規では、全区分所有者の5分の4が賛成すれば、建て替えを決定することが可能である。最後まで反対する人の住戸は、強制的に買い上げることができるという規定もある。しかし、そこまでして建て替えているケースは稀(まれ)である。

ほとんどのマンションは自己負担で建て替えるしかない

だいたいからして、各自が約2500万円以上を負担する建て替え決議案に、全区分所有者の5分の4が賛成するケースは少ない。

というより、私は今までにそのような「全額負担」で建て替えたケースを知らない。

建て替えたら、負担した約2500万円よりもはるかに資産価値評価が高い住戸を得られるようなケースなら、5分の4まで賛成者を増やせるかもしれないが、先に上げたように「東京都郊外の○○市、駅徒歩12分」の場合、約2500万円以上の資産価値評価になるケースは少ない。

今後はさらに、こういった条件が厳しくなりそうだ。

このように現行法の規定では、マンションの建て替えはかなり困難である。それでも、マンションの老朽化は日々進んでいく。

では、どうすればいいのか。私も日々この問題を考えているが、うまい解決策はない。ある程度私有財産権を制限するような法規を新たに設けるか、現行法の運用規定を変えていくしかないだろう。

そうした法規制の緩和で、よりスムーズに建て替えが進むようにするのだ。私有財産権を一部制限するなどの法規制緩和が実現したとしても、費用の問題は残る。

マンションはあくまでも私有財産であり、そこに公的な資金は注ぎ込めない。建て替えるにしても、費用負担は各自の自己責任で賄(まかな)うしかないのだ。

タワマンの建て替えは非常にやっかい

そんな未来を考えると、区分所有のマンションというのは何とも不安定な住形態である。

これは東京だけではなく、日本全体を悩ます問題になりそうだ。そして東京には、さらに厄介(やっかい)なタワーマンションという、区分所有のモンスターのような建物が何百棟もある。