TBSの看板番組『アイ・アム・冒険少年』の人気企画「脱出島」。そこに“やらせ”行為があったという。「文春オンライン特集班」は現地で、番組の常連で絶対的王者・あばれる君(35)が漕ぐイカダが小船に牽引される姿や、出演者が一人で作ったかのように放送されたイカダや「脱出」のための小道具を、大人数のスタッフが組み立てる姿など様々な“疑惑”の瞬間を目にすることになった。取材班が現地で取材した過酷な現場の全容を詳報する。(#1の続き)

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去年の8月、スタッフの中からはコロナ陽性者が出たことも

 マングローブをはじめとする亜熱帯の豊かな森や、美しいサンゴ礁に囲まれた奄美大島は、周辺の島と共に2021年7月に世界自然遺産に認定された。「脱出島」のロケ地・A島は、奄美空港から100キロ以上離れた島のへき地にある。

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撮影で使用されたA島 ©文藝春秋 撮影:細田忠

 地元住民が言う。

「A島に行くには空港から車で2時間、さらに港町から船で40分かかる。入島するには地主や近隣集落の区長の許可が必要で、昔は自衛隊の合同訓練でつかわれた島。今は釣り人や観光客がたまにくる程度で島民も余程のことがないと近寄らない。『脱出島』のロケ地だってことは勿論、島民は皆知っているし、話題にもなっているよ。あの番組は“やりすぎ”だって(笑)。

 番組にはよくイカダの材料として『漂流物』ということでたくさんのゴミがでてくるけど、世界自然遺産の島がゴミだらけなわけがない。奄美が“ゴミの島”のように捉えられるのは困る。あの番組のスタッフは去年の8月、コロナが蔓延している際にも島にロケにきて、スタッフの中からはコロナ陽性者が出たこともあったようだ。このあたりは老人だらけだし、『感染が広がったら…』と怖がっていた人もおったよ」

 過去にA島にいったことがあるという島在住の30代男性番組ファンは番組の演出にこう首を傾げた。