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【安藤サクラインタビュー】時代劇専門チャンネルのオリジナル時代劇「殺すな」 いよいよ劇場上映・テレビ初放送!

中村梅雀、柄本佑、安藤サクラ 豪華俳優陣が語る時代劇の魅力

PR提供: 日本映画放送「時代劇専門」チャンネル

 時代小説の名手・藤沢周平が描く男と女の愛憎劇、珠玉の短篇「殺すな」(新潮文庫/実業之日本社『橋ものがたり』所収)を名匠・井上昭監督が豪華キャストで映像化した。封印した過去をもつ浪人を演じるのはベテラン中村梅雀。そして、世間の目を避けるように裏店に暮らす若い男女を柄本佑と安藤サクラが演じる。三人それぞれの思いを乗せて、運命の小舟は流されていく。その流れの先に待ち受けていたものとは……。

 文春オンラインでは劇場上映・テレビ初放送に先だって、「殺すな」に出演した俳優陣のスペシャルトークを3週にわたって掲載する。第3回は、若き船頭・吉蔵との道ならぬ恋に落ちる船宿の女将・お峯を演じた安藤サクラさん。名匠・井上昭監督が手がけた時代劇「殺すな」の魅力を語ってくれた。

第3回
安藤サクラ 俳優
時代劇をもっと身近に感じてもらえるように。
そんな新たな“志”が生まれました。


あんどう・さくら 1986年生まれ 俳優
2007年俳優デビュー。’12年の『かぞくのくに』でブルーリボン主演女優賞、’14年の『百円の恋』、’18年の「万引き家族」で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。’18年NHK連続テレビ小説「まんぷく」でヒロイン福子を演じ、エランドール新人賞を受賞。「万引き家族」では、その圧倒的な演技力が高く評価され、国内外で数々の主演女優賞を受賞した。

――安藤さん、時代劇への出演はひさしぶりですよね。

安藤 本格的な時代劇は「殺すな」が2作目。デビュー以来、15年ぶりの出演です。

――出演のオファーがあったときは、驚かれたんじゃないですか。

安藤 わたしの夫(柄本佑さん)は時代劇が好きで、京都の撮影所の仕事が入ると、ウキウキして出かけていくんです。わたしも20代前半から、佑くんに撮影所に連れていってもらって、挨拶だけはしていました。でも、「そのうち、いつか」って言っているうちに、子連れになるまで時間がたってしまって(笑)。

――今回は名匠・井上昭監督作品ということで緊張はありませんでしたか。

安藤 ものすごく緊張しました!でも楽しみでしたね。柄本家はみんな井上監督の大ファンなんです。家では時代劇専門チャンネルをずっと流していて、「おっ、この作品、めちゃくちゃ面白いな。誰が撮っているんだ?」って、最後にクレジットを確かめると井上監督の作品なんです。「あー、やっぱり井上監督か。道理でね」と、家中みんなが納得(笑)。

 誰かが井上監督の作品をゲットしてくると、「サーちゃん、これはぜったい観といたほうがいいよ」って、自宅で上映会が始まるんです。その作品の素晴らしさについて英才教育を受けたものですから、いつの間にかわたし自身も井上監督の大ファンになっていました。筋金入りのファンである柄本家のみんなにはおこがましいのですが……。

――では、すんなりと撮影の現場にも溶け込んで……。

安藤 スタッフも出演者も、みんな井上監督の作品に参加できるということに喜びを感じているんです。監督に対する尊敬と愛情。それをベースに、それぞれが全力で自分の役割を果たす。ああいう雰囲気は井上監督じゃないとできないでしょうね。

――久々の時代劇ということで、演技のうえで意識されたことはありますか。

安藤 意識したのは、お着物での所作ですね。祖母も母も日本舞踊をやっていたので、小さい頃から所作には厳しかったんです。どうしても緊張するから、子どもの頃はそれが苦手で(笑)。今回の役柄の身分ではそれを崩していかなければいけないと思いました。

©「殺すな」時代劇パートナーズ
©「殺すな」時代劇パートナーズ

 所作の指導をしてくださった勇家(寛子)さんは、当時の身分や暮らしによりそった形でいろいろ教えてくださったので、それを学ぶのが面白くて、もっともっと知りたいという気持ちになりました。「ここはこうだから、こうなるんだって」って、家に帰ってから母に話すと、母も「へえー、そうだったの」と、結構目からウロコだったみたいなんです。

 35歳にして初めて京都の撮影所に立って、一から学ぶということがすごく新鮮でしたね。若いときだったら、こんなに吸収できなかったかもしれません。自分なりの暮らしぶりがしっかり身に付いているからこそ、時代をまたいで、その当時の人たちの所作を学ぶことが面白い。その時代の人たちの生活、暮らしから生まれるドラマを追求してみたいという

 気持ちが湧いてきました。

――すると、これからも時代劇への出演が期待できそうですね。

安藤 お声がかかれば、ですけどね。また15年先になるかもしれない(笑)。ずっと現代劇をやってきたところで、時代劇とどう向き合えばいいのか、その向き合い方をこれから発見していきたいと思っています。

 今回、自分のなかでの課題は、“自由でいること”だったんです。時代劇というジャンルにとらわれず、どれだけ自由でいられるか。でもなかなか難しいですね。男性陣、梅雀さんと佑くんのシーンを観ていると、「あーすごい自由だなぁ」って思いました。

――梅雀さんにうかがうと、安藤さんと柄本さんのリアルな息づかいが新鮮で、逆に自分は型にはまりすぎかなと思ったとおっしゃっていましたが。

安藤 そんなことおっしゃっていたんですか。梅雀さんはほんとにカッコイイ。知識も経験も豊富でいらっしゃるから、ちゃんと型を身に着けたうえで、自由に演じることができるのだと思いました。わたしももっと勉強していきたいです。恥をかくことを承知のうえで勉強していきたい。どんどん恥をかいていけばいいやという気持ちで、この作品にも参加しましたから。

――いえいえ、安藤さん、堂々たる演技でしたよ。

安藤 井上組の作品を何度もやられている梅雀さんがいらっしゃって、時代劇が好きで出演経験もある佑くんがいて、ただの新人であるわたしがいる。そんな構図です(笑)。梅雀さんが演じられた浪人の小谷善左エ門は、同じ長屋に住む船頭の吉蔵とお峯の若いふたりにやさしく手を差し伸べますよね。実際の撮影の現場でも同様でした。梅雀さんの懐の深さ、器の大きさに助けられて、わたしと佑くんは成立したとしか言いようがないんです。

 よく役者さんが、オフの時間にインプットするとおっしゃるじゃないですか。わたしの場合は、逆に現場にいくことがインプットなんです。現場での密な時間からいろいろなものを吸収することができる。それは普段の暮らしの学びにもつながるんです。今回の「殺すな」の現場でも、カラカラに乾いたスポンジが水を吸い込むように本当にたくさんのものを吸収させていただきました。そこから、時代劇というものをもっと身近に感じられるようにしていきたいという、新たな“志”が生まれたんです。ぜひ、ひとりでも多くの方にこの作品を観ていただければと思います。


井上昭監督が1月9日にお亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈り致します。

*第1回のゲスト、中村梅雀さんのインタビュー記事はこちら
https://bunshun.jp/articles/-/50694
*第2回のゲスト、柄本佑さんのインタビュー記事はこちら
https://bunshun.jp/articles/-/51321

Information

©「殺すな」時代劇パートナーズ
©「殺すな」時代劇パートナーズ

時代劇専門チャンネルを運営する日本映画放送株式会社が時代劇パートナーズとともに制作したオリジナル時代劇最新作「殺すな」。作品は1月28日(金)から全国のイオンシネマ89館で劇場上映、さらに2月1日(火)には時代劇専門チャンネルでTV初放送される。劇場上映とテレビ放送ほぼ同時展開は史上初!
時代劇専門チャンネル「殺すな」公式サイト
https://www.jidaigeki.com/korosuna/