「『子供たちに会いたい』という思いを欠かしたことはなく…」
長きにわたる最終意見陳述の最後に、松永は子供たちの話を持ち出す。
「私は、平成14年(2002年)3月に逮捕されてから今日まで、子供たちとは会えない日が続いているのですが、『子供たちに会いたい』という思いを欠かしたことは1日もなく、毎晩のように、子供たちのことが夢に出てきます」
平然とそう口にする松永は、いくつかのエピソードを挙げたあとで、次のように言った。
「私は、子供たちに言いたい。
お母さんは、『お父さんに言われて人殺しをした』なんて言っているけど、お父さんがそんなことを言うはずがないということは、いちいち説明しなくても分かっているよね。
そして、そのことは、この松永弁護団が書いてくれた『弁論要旨』という本を読めば、一層よく分かるからね、と。
『いつか会える』『必ず会える』という思いが、私にとって励みと力になり、今日まで頑張って来れたのです」
空虚とは、まさにこのときのことを表すのだろう。やがて裁判長が結審を告げ、松永と緒方の福岡地裁小倉支部での審理は終了した。
(第89回へ続く)
