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悠仁さま15歳は即位前にいかなる教育を受けるべきか〈“名門校・筑波大学附属高校へのご進学問題”より重要な視点とは〉

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「文藝春秋」2月号より元宮内庁書陵部編修課長の米田雄介氏による「皇室の危機を考える『天皇を鍛えた男たち』」を全文公開します。(全2回の1回目/後編に続く)

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悠仁さまは即位前にいかなる教育を受けるべきか

 秋篠宮家のご長男・悠仁さまが、昨年9月で15歳になりました。今年の高校進学を前に、学習院へ行かれるのか、あるいは筑波大学附属高校など別の高校へ進まれるのかが、世間の関心を集めています。

 しかし、悠仁さまへの教育において、本来なら最も大事な視点が他にあるのではないかと感じます。

立皇嗣の礼「立皇嗣宣明の儀」を前に秋篠宮ご夫妻を見送られる悠仁さま ©JMPA

 それは「帝王教育」です。

 帝王教育とは、いずれ天皇になるために必要な見識などを身につける教育です。即位する前にいかなる教育を受けるべきかという課題は、歴代天皇をめぐって常に存在してきました。

 では悠仁さまに対しては、どの段階で、帝王教育を進めるのか。教育環境が変わる今を逃すと切り替えのタイミングが難しくなるように思いますが、私はそれを検討する以前の問題が現状にあるのではないだろうかと案じています。

帝王教育の制度について

 私はかつて宮内庁で、皇室関係の史資料や文書などを管理・編修する書陵部に勤めていました。正倉院事務所長を経て退職した後は、歴史学研究者として、皇室関係の著書や編著を出してきました。

2021年、悠仁さまのお誕生日に際してのご近影 宮内庁提供

 今回、この国で行われてきた帝王教育を歴史的に俯瞰し、現代の問題を位置づけてみたいと思います。また、皇太子の弟宮への教育が、兄宮と同等に行われるべきか否かが問題になることがありますので、世間に誤解がある「皇族教育」についても、おいおい触れていきます。

 まずは帝王教育の制度についての書物を見てみると、古くは8世紀初め(701年)に完成した『大宝令』があります。ここでは東宮(皇太子)に対して、東宮傅(とうぐうふ)を1人置くと規定しています。東宮傅とは「道徳を以て東宮を輔け導く」、つまり天皇になるにふさわしい人格を形成させるための“人間教育”を担う立場。天皇に対する太政大臣のような位置づけです。