昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 提携メディア

genre : ライフ, ライフスタイル, 医療

その様子を目の当たりにした宮本さんは感動した。「好きなものを食べられるのは本当に自由なことだ」と実感したのだという。「ビールも飲んでもらったんですよ。酔っ払っても、寝たきりですから」と、おどけてみせる。

「その誕生日の後、おじいちゃんは明らかに元気な日が増えました。89歳の誕生日は迎えられなかったものの、それから半年以上たって家で亡くなりました」

匂い、目にするもの、それまでと変わらない空間——家なら、誰にも邪魔されることなく自分のペースで日々を過ごせる。だから死の間際の痛みは和らぎやすく、本人は「こうしたい」という希望もわきおこる。

高齢者だけでなく、もっと若い人も「家で死にたい」という思いはある。

吉野清美さんは今から7年前、40代でがんを発症した。医師から「退院はさせられない」という言葉を聞いたが、「家に帰りたい」という気持ちに揺らぎはなかった。(続く。第8回は1月21日11時公開予定)

笹井 恵里子(ささい・えりこ)
ジャーナリスト
1978年生まれ。「サンデー毎日」記者を経て、2018年よりフリーランスに。著書に『週刊文春 老けない最強食』(文藝春秋)、『救急車が来なくなる日 医療崩壊と再生への道』(NHK出版新書)、『室温を2度上げると健康寿命は4歳のびる』(光文社新書)など。新著に、プレジデントオンラインでの人気連載「こんな家に住んでいると人は死にます」に加筆した『潜入・ゴミ屋敷 孤立社会が生む新しい病』(中公新書ラクレ)がある。

この記事の写真(1枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z