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ホームレスと生活保護というものは非常に密接な関係にある。施設の環境に我慢できずに逃げ出して再びホームレスになってしまう人もいれば、アパートを契約したりドヤに住み始めたりするも、ほかの住人もほとんどが生活保護受給者であるため金の貸し借りなどのトラブルが発生し、再びホームレスを選択する人もいる。

路上に置き去りにされたキャリーケースは、そういった人たちが路上に残していった残骸である。再び路上に戻る可能性を見越して、鍵をかけるなり、村から離れた場所に置き漁られないようにするといった対策を取っているのだ。

なぜか登記されていない物件

日中はオフィスビルの吹き抜けで過ごし、夜は新宿駅西口地下広場で寝泊まりしている五十代くらいの女性も、つい最近まで生活保護を受けながらアパートで暮らしていたが、自分から打ち切り、ホームレスになったという。現在、収入はなく、私たちと同じように炊き出しに与りながら生活をしている。彼女が話す。

「生活保護はどうしても私に合わなくて。私はすぐにアパートに入ることができたのだけど、物件自体に問題があるのよね。その物件は登記がされていなくて。そんなところに住むのは怖いじゃない」

日本では建物を建てた場合、一カ月以内に登記をすることが義務付けられているが、登記をされていない「未登記物件」は多く存在する。厳密に言えば違法であるが、罪を問われるようなことではない。それは、登記という行為がそもそも、物件の持ち主を守るためのものであるからだ。社会問題に詳しい弁護士の大城聡氏が話す。

「日本では不動産は価値があるものだから、登記することによって“これは自分の物件です”と言うことができる。仮に第三者に物件を占拠されたときに、登記をしていれば自分のものだと証明ができる。となると、普通に考えれば皆登記をするわけで、分かりやすく言えば、登記もしていない人間が管理しているような物件には何らかの問題があるだろう、という推測は成り立つでしょう」

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