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genre : エンタメ, 芸能

児玉清さんに出会えたのは人生の宝

 この番組に出始めてから飛躍的に読書量が増えました。1週間で本を4作読まなければならないんです。1作といっても上下巻もありますし、最高は19巻まであるものも(笑)。最初は番組スタッフから、全部読むのは大変だから無理しなくても大丈夫と言われたのですが、とてもじゃないけど読まないであの席には座れなかったですね。たとえ私が一言も発言できなかったとしても、そうそうたる書評ゲストや作者にお話を伺うのに、読まなければ参加資格がないと思っていました。

 でもそれがすごくいい経験になりました。本って普通は自分が選んで読むものですが、自分が選ばない本、しかも皆さんが今一押しだという本を読んで、司会の児玉清さんを中心にゲストの方とトークする。こんな貴重な機会はないですよね。

2004年~2012年までNHK-BS「週刊ブックレビュー」に出演。「児玉さんに教わったことは今も私の人生の宝です」

 この番組で児玉さんに出会えたというのも私の人生の宝です。作家の皆さんを、新人もベテランも関係ない、皆が「物語の神様」だとおっしゃっていて、その姿勢にも私は大変感化されました。ちょうど私も2作目の小説がなかなか書けなかったときに間接的に児玉さんが背中を押してくださり書いたことで、今の私があるとも思います。

 この番組を通して「本」というのが自分のライフワークだということに改めて気づき、文学を体系的に学ぶために通信制の大学にも通い始めて、40歳で卒業しました。

まだ自分には伸びしろがある

 今40代後半ですが、まだまだできていないことばかり、やりたいことばかりです。児玉さんが「人間は50から。そこから努力した人が伸びる」とおっしゃっていたのを、最近よく思い出します。もともとは画家の中川一政さんの言葉のようですが、たいがいの人は50になると先が見えて努力をやめてしまう、だからこそ努力した人が伸びると。

2021年10月に5作目の小説『万葉と沙羅』を上梓。自身の卒業した通信制高校が舞台。「5作目で、少し肩の力が抜けてきました」

 小説もまだまだ書きたいし、最近、復活した歌手活動も極めたいし、楽器もやってみたい。まだ自分には伸びしろがあると信じています。

万葉と沙羅

中江 有里

文藝春秋

2021年10月21日 発売

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