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20年後の現在、マイナンバーカードやパスポートの運用で、当時予想された通りの混乱が広がっているわけです。

政府も「マネーロンダリング」のリスクを指摘

2021年12月17日の参議院予算委員会で、林伴子内閣府男女共同参画局長は以下の内容の答弁を行いました。

旧姓の通称使用については
・本人だけでなく企業や行政にとってもコストや事務負担が大きく経済的にマイナス
・パスポートは旧姓併記が可能となっているが、航空券やビザは戸籍名なので現地で混乱するなど海外の仕事や生活に支障がある
・戸籍名と通称を使い分けることにより、マネーロンダリングなど悪用の懸念がある
・離婚・再婚により複数旧姓のある人も多くなっている
・名前は個人の尊厳やアイデンティティ、人権に関わるものであり、旧姓の通称使用では根本的な解決にならない
などの限界や課題が、本年9月の男女共同参画会議の計画実行・監視専門調査会をはじめ、さまざまな場で指摘されている。

ここで政府から明確に「マネーロンダリング」まで踏み込んだ指摘があった点は重要です。

外務省も悪用の可能性を指摘

そもそも、婚姻も離婚も紙一枚でできてしまう日本の制度では、結婚による改姓が悪用されることはこれまでにもありました。少し古いケースでは、国際テロなどを起こした「日本赤軍」の重信房子受刑者(殺人未遂罪などで服役中)が1971年に、結婚し改姓して新たにパスポートを取得し、海外に逃げ延びたことがあります。また、日経新聞などの報道によると、2011年にも偽装結婚による改姓を悪用した保険金殺人事件がありました。2022年1月には、同一人物が旧姓・現姓で2種類の運転免許証を取得して道路交通法違反で逮捕された事件を、千葉日報が報じています。千葉県警千葉西署によると、この容疑者は結婚や養子縁組で複数回改姓を繰り返しており、異なる名義を不正な目的で利用しようとしていたとみられています。

外務省は2019年、内閣府による「女性活躍加速のための重点方針」に盛り込むべき事項に関係する各省ヒアリングに対し、「複数の姓を公証しているように見えるため、旅券の旧姓を国内外で悪用(詐欺行為等の犯罪に利用)する者が現れる可能性」があると述べ、パスポートへの旧姓併記が悪用される可能性を指摘しています。

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