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「残高は800円」と聞いた母親は、相続財産を受け取れると聞いた時と同じくらい、驚いたという。愕然とした母親が悩んだ末、私のところに相談に来たわけである。

聞けば、山崎家の全財産は、母親が持つ預金の120万円だけ。この預金も、少しずつ減っているため、底をつくのは時間の問題だ。主なやりとりは下記のようなものだった。

「相続財産を受け取る前から、お母様の預金は今くらいの金額でしたか?」

「いえ、私は自分の親から3000万円を超える預金を相続したのですが、息子との生活で毎月10~20万円くらいの赤字が出ているため、今の金額まで減ってしまいました」

「息子さんの相続財産はすでに使い果たしたわけですから、時間を過去に巻き戻すわけにもいきません。将来的に、息子さんがひとりになったときには、生活保護のお世話になることも含めて、生活設計を立て直す必要があります。いずれにしても早急に、息子さんのお金遣いを改める必要があります。お金遣いが改まらなければ、親子で路頭に迷うことになりますから」

加えて、「収入の倍近い支出がありますが、なにか節約ができるものはありませんか?」

と尋ねてみると、こう言って口ごもるばかり。

「頑張れば2万~3万円くらいは減らせるかと思いますが、それ以上はなかなか……」

ならばと深刻さを伝えるために、こう伝えた。

「月々17万円の年金で、2人分の生活費を賄っているご家庭は、世の中にたくさんあります。食費は2人分で上限が4万円、光熱費は2万円、電話代は携帯電話を合わせて1万円など、17万円の中に納まる予算を立ててみてください。予算を立てたら、息子さんにもその予算を守ってもらえるように、厳しく言い聞かせてください」

「家の売却は、息子が絶対に『うん』と言わないです」

すると高齢の母親は困惑するだけで、思考は停止しているように見えた。そのため、さらに進言した。

「今のままですと、お母様の預金が底をつくのも時間の問題だと思います。預金を含めた全財産が5万~7万円程度まで減れば、生活保護の申請はできますが、おふたり分の年金額を考えますと、仮に生活保護の受給が認められても、手取りがそれほど増えるわけではないはずです。年金分は、生活保護費から差し引かれますので。それよりも、現在住まれている自宅を売却して、当面の生活費を確保することは考えられませんか?」

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