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ここまでの話を聞いた母親は、最終的には家を売るしかないという話にショックを隠せないようだった。やはり、一筋縄ではいかないだろうが、長男を説得するしか、生き残る道は残っていないのだ。

「息子さんが社会に出て働くことと、お金遣いを直す努力をすることは、どちらが現実的だと思われますか。私は後者だと考えます。合わせて、せっかくリフォームした、お気に入りの家だとしても、売るという選択をするしかない現実も、息子さんに理解してもらう必要があります。売却の決心がつくまでには、かなりの時間を要するはずですから、こちらの話し合いも急ぐ必要があります。息子さんがどうしても家を手放したくないと言い張るのであれば、お母様と暮らしているあいだは、月に17万円以下で暮らすことに協力してもらうしかありません」

家の売却を先送りにできたとしても、母親亡き後、長男がひとりで今の家を維持していくことは難しい、という現実もある。また母親が認知症を患うと、正しい判断ができなくなると判断され、家の売却契約も困難になってしまう。

結局のところ、自宅を売却して、母親が存命中は売却金で親子がなんとか暮らしていく→母親が亡くなって収入が障害年金だけになり貯蓄がゼロになったら、長男は生活保護の申請をする……という流れが、現実的な方法と言えそうだ。自宅を売却した後であれば、家賃分に相当する住宅扶助も受けられる可能性はある。

「生活保護の申請をする際、初回は3時間くらい、いろいろな質問をされます。統合失調症を患っていらっしゃるご長男が、長時間、質問に答えるのが難しいと思われれば、弟さんに申請に同行してもらえないか、頼んでおくのが安心です。弟さんが同行すると、お兄さんの生活費の援助を求められると思いますので、援助するのか、援助は一切しないのか、あらかじめ弟さんに検討してもらっておいたほうが良いと思います。援助を求められることを知らずに同行したら、弟さんも驚かれるはずですから」

1億2000万円を受け取って、目の前の借金がなくなり、老後生活も盤石になった次男。いっぽう無計画な散財によって、わずか5年で使い果たしてしまった長男。2人のこれからの人生は、今まで以上の差が付いてしまったことになる。だが、長男の金遣いの荒さを受け入れてきた母親にも、かなりの責任があると感じてしまう相談になった。

畠中 雅子(はたなか・まさこ)
ファイナンシャルプランナー
「高齢期のお金を考える会」主宰。『ラクに楽しくお金を貯めている私の「貯金簿」』など著書、監修書は60冊を超える。

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