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「推しがいいこと言っているから、知ってもらいたい」雑誌の文章のみSNSにアップするのも著作権NG…見落としがちな“推し活”の注意点

『清く楽しく美しい推し活』より #2

note

 購入した雑誌に載っていた「推し」の写真やコメントがあまりにも素晴らしくて、この感動を誰かと共有したい!と思うことは、全く悪いことではありません。しかし、そのために雑誌の中身をSNSにそのままアップロードしてしまったら、思わぬ罪に問われてしまう可能性があります。

 ここでは、数多くの芸能法務に携わってきた弁護士の河西邦剛と松下真由美が、法的な観点から「推し活」を楽しむための注意点を解説した『清く正しく美しい推し活』(東京法令出版)の一部より再構成。「推し活」の中で直面しがちな、著作権に関連する注意点を紹介します。(全2回の2回目/前編を読む)

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推し活と法律

「これを見ればファンが増えるはず。なんて推しの布教に貢献的なわたし!」などと思って、雑誌に掲載された推しのベストショットをSNSで拡散する行為。実はこれ、意図せずとも著作権法に違反している可能性があります。

 さて、この例に限らず、雑誌等に掲載された推しの情報をどう取り扱えばいいのかは、いろいろと疑問の生じてくるところかと思います。そこでこの章では、本のテーマである清く楽しく美しい推し活をしたい読者の方々に知ってほしい、SNS上への画像投稿等に関する法律知識を解説していきます。

著作権ってそもそも何?

 著作権についてまず覚えていただきたいポイントは3つ!

 ① 著作権は基本的に著作物(雑誌、写真、DVD、CD等)について生じる

 ② 人間そのものは著作物にならないが、パブリシティ権(肖像権)が生じる場合がある

 ③ 著作物を許可なくネットにアップする行為は著作権法違反になる

 それでは、著作権が発生するのは具体的にどういう場合か見ていきましょう。著作権法ではこのように定められています。

著作権法(定義) 

 第2条第1項第1号 著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。

 例えば、写真集、雑誌、DVDやCDは著作物になります。近年はダウンロード、ストリーミング等で映像や音楽を楽しむ方も多いかと思いますが、CDのようにパッケージ化されていない映像や音楽も著作物です。

 もし勝手にこの著作物をSNSに投稿するなど著作権法に違反した場合、10年以下の懲役若しくは1千万円以下の罰金(両方という場合もあります)と、かなり重い罪になります。