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「欲求不満」と「挫折」は成長に不可欠…精神科医が「子育ては手を抜いたほうがいい」と助言するワケ

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genre : ライフ, ライフスタイル, 教育

親の存在は子どもの成長にどう影響するのか。精神科医の斎藤学さんは「泣いている赤ちゃんを無視するような親のもとで育つと、思春期に大暴れするケースがとても多い。一方で、なんでも子どもの願いを叶える親の子にも、意外なリスクが潜んでいる」という――。

※本稿は、斎藤学『「毒親」って言うな!』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/kohei_hara ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/kohei_hara

赤ちゃんに不断の関心を払うのが「よいおっぱい」

イギリスの精神分析医(もともとは小児科医)のドナルド・ウィニコットは、「グッドイナフ・マザー」という言葉を提唱しています。滅多にいないほどの理想的な親ではなく、「まぁまぁ普通の親」という意味です。

子どもが生まれてすぐに親が感じるのは、何ひとつ自分ではできない、言葉にさえできない、赤ちゃんの無力さと脆弱(ぜいじゃく)さでしょう。親は「大変だ。必死で育てないと死んでしまう」と感じます。泣いていないか、布団をかぶって窒息していないか、何か異常なことが起きていないか、お腹がすいていないか、おっぱいは足りているのか、始終見張っていないと心配です。

「よい親」とは「よいおっぱい」ですから、タイミングよく授乳などの世話をしてくれる親。どうしてタイミングよく授乳できるかといえば、赤ちゃんに不断の関心を払っているからです。常に赤ちゃんに関心を持ち、ちょっとグズったら、「おむつ?」「おっぱい?」と世話をします。

現実的には、親の側にも生活がありますから、必ずしもタイミングよく世話ができないこともあるでしょう。しかし、少しくらいタイミングが遅れたとしても、泣いている理由がわからなかったとしても、赤ちゃんのことを気にかけて世話をしていれば、「まぁまぁ普通の親(おっぱい)」です。

「悪いおっぱい」の子どもは泣かなくなる

一方、生まれたばかりの赤ちゃんに“自分が世話をしなければ死んでしまう”という脆弱さを感じることができず、赤ちゃんが泣いているのを無視する場合は「悪いおっぱい」です。つまり「おっぱい」とは、個別の部分対象を指すというより、「場合」や「状況」を指す言葉なのです。