「文藝春秋」2022年3月号より、皇室ジャーナリスト・佐藤あさ子氏の「秋篠宮家『取材日記』」を全文転載します。(全3回の1回目/#2に続く)
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秋篠宮家の知られていない側面
皇族がお出ましになる際には、どこからともなく大勢の皇室ファンがその姿を一目見ようと集まる。皇居の半蔵門や赤坂御用地の巽門はもちろん、ご公務先やお出かけ先である展覧会やコンサート会場にも記者に交じってファンの姿は必ずある。
皇族方は、今も世間から隔絶された世界でお過ごしだから、お出ましの機会は、その表情、ファッション、お振舞いをこの目で確かめることができる貴重なチャンスだ。私は愛子さまが学習院初等科に入学される2008年頃から、こうした機会を逃さないように努めてきた。
この数年、眞子さんの結婚騒動で秋篠宮家はかつてないほど揺れた。今回はこれまで書き貯めてきた取材メモを読み返しながら、ご一家のあまり世間には知られていない側面をお伝えしたいと思う。
目を引いた悠仁さまの和服姿
・2022年1月1日 高輪仙洞仮御所正門前
元日、仙洞仮御所の近くに到着したのはお昼前だった。高輪の一角にある旧高松宮邸(現仙洞仮御所)が上皇ご夫妻の現在のお住まいだ。周囲は高級住宅地で、和菓子の老舗が数軒並ぶ。
この日は最低気温マイナス1度。沿道に立って待つため背中にホッカイロを貼り、ポケットにも2つカイロを忍ばせ防寒対策したが、それでも寒かった。
午前10時半ころ、悠仁さまのお車が現れた。同じ時間に皇居では新年祝賀の儀が行われており、父、姉佳子さまはそちらに出席していた。お子様がたの挨拶は、大人たちとは別に行われるのが慣例だ。
悠仁さまお一人で、沿道に向かって会釈し、手を振られていた。平成時代、お誕生日の挨拶などで皇居に向かわれる際、半蔵門で見かける悠仁さまは恥ずかしそうに俯きがちだったので今回のご様子は珍しく、同時にご成長も感じた。
この日、目を引いたのは和服姿だったことだ。同日皇居でおこなわれた新年祝賀の儀で、天皇陛下や男性皇族は揃って燕尾服、皇后さまや女性皇族はロングドレスという礼装で統一されていた。それだけに、悠仁さまの和服姿が印象に残った。