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「こだわり抜いたコメ」は元米穀店のプライド

券売機に「お肉に期待している方はステーキ屋さんへどうぞ」と記している、付け合わせ扱いのステーキに関しても、地道に工夫を重ねてきた。

オープン当初はスピードと効率を重視して一度に6枚の肉を焼いていたが、焼き加減がうまくコントロールできないとわかると、「お客さんを待たせてでも、少しでも良いものを出そう」と4枚に切り替えた。また、なるべく硬いところをお客さんに出さないように筋切りの仕方を変え、少しでも硬そうだなと思ったら、カットした状態で提供するなど試行錯誤している。

実家が近所にあり、地元に寄るたびに通っているという常連客に、「どんなところが気に入ってますか?」と尋ねると、「肉ですね」と即答した。

それを聞いた大曽根は「そこはコメって言ってくださいよ」と苦笑した。

メインディッシュのコメには、元コメ屋のプライドをかけて、徹底的にこだわっている。主に使用しているのは、会津のコシヒカリ。コメ屋の時から「値段の割に、めちゃくちゃおいしい」と感じ、顧客にも勧めていたものだ。

コメを炊く時には、コメ屋時代に顧客に「おいしいコメの炊き方」としてアドバイスしていたように、「研ぎ過ぎない」「炊く前に水にしっかり浸す」「水もコメもグラム単位で計量する」「炊き上がったらほぐして余分な水分を飛ばす」という基本を厳守。さらに、炊いた後の保温状態が1時間も経つととおいしさが失われるため、どんなに忙しくても少ない量をこまめに炊いている。

その味によって驚くべきことにコメのファンが生まれ、時折、採算度外視で山形の「つや姫」や「雪若丸」、北海道の「ゆめぴりか」を炊くとSNSで告知すると、コメ目当ての客が訪れるようになった。なかには、毎回コメの大盛り300グラムを2度おかわりして、一度に900グラム食べる猛者もいる。これだけ「コメ」が愛され、注目されることに、大曽根は手応えを感じている。

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