昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

「クソ野郎」と公然と言い放つプーチン大統領にジャーナリストが“やらせ疑惑”の強烈な質問をぶつけると…

#2

2022/03/14

source : 文藝春秋 2014年4月号

genre : ニュース, 社会, 国際, 政治

「クソ野郎」と公然と言い放つ大統領。その力の源泉とは。作家の佐藤優氏による「最強の独裁者プーチンの凄腕」(「文藝春秋」2014年4月号)を特別に再録します。(全2回の2回目/前編から続く)

(※日付、肩書きなどは掲載当時のまま)

◆ ◆ ◆

独裁者との対話

 世論調査の結果でも、2013年11月の大統領支持率は61パーセントに過ぎない(2013年12月3日ロイター)。プーチンを熱烈に支持する発言をするのは、クレムリン、政府、議会与党、社会院(社会の代表者から構成されているという建前の機関だが、実態は謎で、クレムリンの裏工作に従事している)の関係者だ。プーチンをぼろくそに非難するのは、一部の知識人とジャーナリストだけである。こういう人たちは、基本的に西欧派的な世界観を持った人だ。

ソチ五輪でのプーチン大統領 ©JMPA

 その1人に著名なジャーナリストのマーシャ・ゲッセンがいる。彼女はユダヤ系で、1967年にモスクワで生まれ、81年に米国に移住した。ソ連崩壊直後の91年末にロシアに戻り、米国とロシアの二重国籍を持つジャーナリストとして活躍した。プーチン政権に対する批判を強め、2013年5月に拠点を米国に移してジャーナリスト活動をしている。

 2012年9月にゲッセンは、クレムリンでプーチンと面会している。その記述を読むと、プーチンの独裁者としての実態が浮き彫りになる。当時、ゲッセンは『世界を巡る』という科学雑誌の編集部に勤務していた。ペスコフ大統領報道官から、西シベリアのツルを野生に戻すときに、プーチンがハンググライダーで一緒に飛行するので、それを取材して欲しいという要請があった。プーチンのイメージアップを狙った「やらせ記事」なので、ゲッセンは断った。するとプーチンから直接、アプローチがあった。