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《ウクライナの今》32歳カメラマンはこうして“衛生兵”になった 志願者の40%は女性

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「ロシア人に同情する余地は全くありません」

――停戦交渉は今回で3回目となりましたが、現場で戦う人々はどのように受け止めていますか?

 過去の歴史を振り返ると、ロシアとウクライナの間で結ばれた協定はほとんどがロシアによって破棄されています。1994年に締結した核兵器放棄を条件にウクライナの安全保障を約束する「ブダペスト覚書」も反故にされました。今のこの状況をロシア人との交渉によって解決するということは全くもって不可能だと思います。

 ロシアによって不当に併合されているクリミア、そしてドンバスも含めてウクライナは自国の土地を手放すことはあり得ません。私の家族は6代にわたってキエフ生まれキエフ育ちです。家族は全員避難しました。私は最後まで戦うつもりです。

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 今、最も必要なことはウクライナ上空を非武装化することです。住宅や民間施設へのミサイル攻撃や空爆が熾烈を極めています。病院や老後施設、学校にもロシア軍は意図的に着弾させています。そのためにも国際社会による軍事的、経済的支援は不可欠です。加えて経済的な制裁も重要です。戦争という道を選んだロシアに代償を払わせるべきです。プーチン大統領はただの気が狂った老人ではなく、ウクライナを掌握するという明確な意思を持ち核兵器の使用も含めた脅しを仕掛けてきています。ロシア国内の人が声を上げて戦い、彼を権力の座から追い出すことを期待します。これは希望的な観測ですが、将来的にロシアはいくつかの地域に分かれて独立することになるのではないかと思っています。

――日本にできることは?

 戦争が起こる前から、日本はウクライナに対して医療機器や資材を提供してくれました。それらは今、軍の病院で活用されています。ロシアに対しては引き続き政治的・外交的圧力をかけて欲しいと思っています。

 繰り返しになりますが、ロシアの空からの攻撃は日々強くなる一方です。もし、ミサイルや空爆に対処できる物を提供してもらえるならばこれほど嬉しいことはありません。

 

(写真・本人提供)

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