昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 提携メディア

genre : ニュース, 国際, 経済, 商品

この考えによれば、日本が貧しくなった原因は、日本の成長率の低さだということになる。確かにそうだ。しかし、ここでとどまらずに、さらに検討を続ける必要がある。

なぜなら、アメリカで物価が上がり日本で上がらなければ、あるいはアメリカで名目賃金が上がり日本で上がらなければ、為替レートが円高になって調整されるはずだからである。

ところが、日本は金融政策によって為替レートを円安に導いた。このため、国際的に見て日本の物価や賃金が安くなったのだ。

したがって、現在の日本の低い賃金や「安い日本」を問題とするのであれば、その責任はアベノミクスにあるということになる。

シャーロック・ホームズ・シリーズの『銀星号事件』で、ホームズは、犯人が侵入した時間に「犬が吠えなかった」ことが不思議だと言う。あって当然のものがなければ、それが問題を解くカギだ。異常な円安に対して、番犬が吠えなかったのが、日本の問題なのだ。

「亡国の円安」としか言いようがない

円安になれば簡単に利益が増えるので、技術開発や新しいビジネスモデルへの転換が行われず、その結果、賃金が上昇しなかった。

円安は次の二重の意味において、日本を貧しくしたことになる。

為替レートが円安になったため、日本円の購買力が低下した。これは、「円安の直接効果」だ。

円安の麻薬効果によって、日本企業が技術開発やビジネスモデルの転換を怠った。これは、「円安の間接効果」だ。「亡国の円安」としか言いようがない。

日本を貧しくした根本的な原因

前述したように、為替レートがアベノミクスの期間に円安にならなければ、国際的に見て日本の賃金や物価はいまのように安くならなかったと言える。

この見方に対して、つぎのような意見があるだろう。

アベノミクス以前の円高は異常なものであり、企業(特に、製造業の輸出企業)が立ちゆかなくなっていた。それを金融緩和で円安にしたから、日本経済が立ち直ったのだと。

しかし、本来であれば、円高に対して、技術革新で生産性を向上させて対応すべきだったのだ。低成長になったのは、技術開発がなされなかったからであり、円安によって企業が安易に利益を増加できたからである。

z