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なのに、人間とは実に奇妙な生き物で、「自分らしく生きたい」と願いつつ世俗的な人生観に毒されていく。自分の手の届かない幸せを手に入れた人たちをうらやみ、他者との温かい関係より、経済的に豊かになることが幸せへの道のりだと勘違いする。他者とのつながりの大切さに気づいたとしても、すぐに忘れていく。

一方で、これまでとは異なる考え方や意識で、半径3メートル世界の「ゆるいつながり」を日常にした人たちがいる。“新しいゲーム”に参加した、パラダイム・シフトした人たちだ。

彼らは、ホームページやクラウドファンディングを活用して集まった資金を元手に、子どもたちに食料を届けたり、地域の人たちが交代で高齢者の家を訪問したり、自分も力になりたいと地域の人に呼びかけるサイトを作ったりしている。「ちょっとだけ余裕のある人」が、「ちょっとだけ元気な人」が、“雨”に濡れている人たちに“傘”を差し続けている。

あなたは、雨に濡れる人がいたら傘を差しているだろうか。あるいは、あなたが雨に濡れていたら傘を差してくれる人はいるだろうか。

HOPEを取り戻せ

私はこれからの時代の鍵を握るのは、人々の心の奥底に眠る「HOPE」の復興にあると信じている。収入でも肩書でも勤務先でもない、50歳からは半径3メートル世界に、あなたが幸せになるためのヒントが隠されている。

そんな思いを込めて、今回、『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?』を上梓した。健康社会学者としての知見、および、約900人の会社員にインタビューをしてきた事例をもとに、サラリーマンの「パラダイム・シフト」を提案している。ぜひ同書をご高覧いただきたい。

HOPEは直訳すると「希望」なのだが、日本語で言う希望とは、若干ニュアンスが異なる。

「希望がある」と言うと、「頑張れば必ず報われる」「未来にいいことがある」など、期待感や可能性を示す使われ方をする場合が多いが、対してHOPEは「逆境やストレスフルな状況にあっても、明るくたくましく生きていくのを可能にする内的な力」のこと。シンプルに言えば、「前向きに生きようとする意思」であり、「あきらめない力」のことだ。

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