昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 提携メディア

HOPEは、「共に生きてくれる他者」の存在により引き出され、日常で経験する小さな喜びや楽しみによって高めることができる。

HOPEはあなたの周りにいつでも存在している

「情けは人の為ならず」というが、人に情け(=愛)を尽くせば、巡り巡って自分にいい報いが返ってくる。そして「情け」とは、一人の人間として他人を思いやる心にほかならない。

私が在籍した研究室(東京大学大学院医学系研究科健康社会学教室)で一般の成人男女300人を対象に行った調査でも、自分を大切に思ってくれる人、信頼できる人がいることでHOPEが強まる傾向が確認されている。一方で、HOPEと経済的なゆとりとの関連性は認められていない。

おそらく今後、さらに経済的格差が拡大し、効率が優先される社会風潮が強まるだろう。努力しても報われず、人々は理不尽な社会システムに翻弄され、自分の存在意義さえ失いそうになるだろう。「この社会には希望がない」と「私」たちは嘆くかもしれない。

しかし、そんな時は、大きく深呼吸をして周りを見渡してみるといい。しばらく連絡をとっていなかった友人に電話をしてみるといい。それだけで何かが変わる。心に風が吹き込むことになる。

日々の忙しさの中で、他人の存在やつながりの大切さを忘れてしまうことは度々あるものだ。時々、立ち止まって思い出して欲しい。そして、仕事との向き合い方、働き方に悩む50歳だからこそ、仕事が「私」という存在を支える太い柱であることを、どうか忘れないでほしい。

HOPEは、いつでもあなたの周りに存在している。そのことに気づくか、気づかないかだ。

河合 薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.)、気象予報士
東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D.)。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。著書に『残念な職場』(PHP新書)、『他人の足を引っぱる男たち』『コロナショックと昭和おじさん社会』(日経プレミアシリーズ)、『定年後からの孤独入門』(SB新書)、『THE HOPE 50歳はどこへ消えた?』(プレジデント社)などがある。

この記事の写真(1枚)

ツイッターをフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー
z