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マスク生活が子どもに及ぼす「意外な副作用」 リスクは熱中症だけではない

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マスクを常に着用していると、子どもたちへの大きなリスクが……。浜松医療センターの矢野邦夫医師が警鐘を鳴らす。(「文藝春秋」2022年4月号より、全2回の2回目/前編から続く)

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感染防止より重症化防止

 変異株については未知数ですが、今年7月には、(1)3回目のブースター接種の完了、(2)抗コロナウイルス薬の普及、という条件が揃う可能性は高い。そうなると感染者の重症化は、かなり抑え込むことが出来るでしょう。ですから、この段階でマスク着用は、一斉にやめるべきだというのが私の提案です。

 ワクチンの効果や、薬の開発、供給スケジュールなどが、私の想定と異なることもあるでしょう。その場合、大人はユニバーサル・マスキングの期間を延長するなど、粛々と対応を変えていけばいい。重要なのは科学的な根拠にもとづいた対応をすることです。

 その点から言うと、これまでの「感染拡大をいかに抑え込むか」という方針は転換すべきでしょう。

2年以上続くマスク生活 ©共同通信社

 発症前にウイルス排出のピークがある。感染者の半数が無症状である。無症状であっても感染性がある。こうした新型コロナのやっかいな特徴を見ると、SARSのような封じ込めが可能なウイルスではないことは明らかです。

 現在の方針をいつまでも続けていては、社会が正常に回っていきません。感染防止を最重要視するあまり、保育園の休園、小中学校の学級閉鎖が続々と起こっています。医療従事者も、家族が濃厚接触者になったために病院へ出勤できなくなってしまっています。こうした非常事態が続いているわけです。

 極論に聞こえるかもしれませんが、たとえ感染しても、重症化や死亡を防げばいいのです。従来型のコロナウイルス、つまり普通の風邪や、インフルエンザでは、そうした方針が社会で共有されていたから、ユニバーサル・マスキングが求められることがありませんでした。

 欧米ではすでに、コロナと共存する方向に舵を切り、マスク着用義務を緩和する動きも出ています。アメリカのニューヨーク州では2月10日以降、飲食店や映画館などを利用する場合に求めていたマスクの着用義務を解除しました。続いてカリフォルニア州でも2月15日、ワクチンの未接種者を除き、屋内でのマスク着用義務を緩和しています。イギリス、イタリア、フランスなども同様の措置に踏み切っている。日本も後に続き、「出口戦略」を考えるべき時に来ています。