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たとえば、医療界の頂点に立つ東京大学の2020年度の財務情報を見ると、医学部附属病院の経常収益699億円のうち、「受託研究等収益等」は44億円と6.3%を占めていました。これは、国から医学部附属病院に支給されている「運営費交付金」50億円(7.3%)に匹敵する金額です。決して少ないとは言えません。

実は国立大学は、国の直轄経営から2004年に独立行政法人となり、自主独立での経営努力が求められるようになりました。それにともなって、運営費交付金が年々減らされることになりました。大学の医学部附属病院にとって、もっとも大きい収入源は医業収入(診療報酬)ですが、それを増やすのにも限界があります。ですから、製薬会社からの受託研究費は、運営費交付金の減収を補うものとして、とても貴重なものなのです。

「学術研究助成費」は薬を多く使う診療科に集中する

さて、次に大きいのが「学術研究助成費」です。これは学術研究の支援を目的に支払われるもので、主に「奨学寄附金」と「学会協賛金」などが含まれます。

2018年の1位は中外製薬で約27億円、2位が第一三共で約19億円、3位がエーザイで約16億円、4位が武田薬品工業で約16億円、5位がアステラス薬品で約15億円です。ワクチンメーカーは、ファイザー社が8位で約13億円、アストラゼネカ社が30位で約3億円。同じく80位までのデータをすべて足し合わせると、約336億円となりました。

奨学寄附金とは何でしょうか。これは主に大学医学部の医局(主に臨床系の診療科別の教室)に製薬会社が支払う、使い道が限定されていないお金です。どんなものに使われるかというと、教授秘書の給料や教室の物品購入費などに充てられています。

この奨学寄附金の支払先には、特徴があります。それは薬を多く使う診療科に、多額のお金が流れていることです。2015年、私は、医療と製薬マネーとの関係について書いた『新薬の罠』(文藝春秋)という著書を出版しました。その本に、2012年度の東大病院の診療科別の奨学寄附金受入額ランキングを載せたのですが、1位が循環器内科で1億902万円、2位が糖尿病・代謝内科で9629万円、3位が腎臓・内分泌内科で9043万円、4位が皮膚科・皮膚光線レーザー科で8300万円、5位が消化器内科で7259万円でした。

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