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学術集会の開催費はどこから出ているのか

つまり、製薬会社は、新薬を販売するのに有利な基準値や治療指針になることを期待して、診療ガイドラインを作成する専門医学会で大きな力を持っている教授の診療科に、奨学寄附金を支払うというわけなのです。

もう一つ、「学術研究助成費」として製薬会社が支払っているのが、「学会協賛金」です。各医学会は年に1回、各地の大学持ち回りで、大規模な「学術集会」を開きます。この学術集会は、有力な学会になるほど高級ホテルや大規模なコンベンションセンターなどで開かれるのですが、その費用はどこから出ているのでしょうか。

会員からの会費もあるのですが、製薬会社からの協賛金が開催費に充てられているのが実態です。

製薬会社は、タダでお金を払っているわけではありません。学術集会の開催プログラムを見ると、製薬会社が共催する「ランチョンセミナー」という項目があります。これは、無料のお弁当を食べながら、大学教授など有力な医師の話を聞くというものなのですが、ここで製薬会社が聞いてほしい新薬の情報などが話されます。

医学界の幹部は製薬会社に「頭が上がらない」

また、会場には製薬会社や医療機器メーカーのブースが出ます。そこにパンフレットや医療機器の実物などが展示されています。つまり、お金やお弁当を出す代わりに、製薬会社は学術集会の会場で、学会に来た医師たちを対象としたプロモーションを行っているのです。

製薬会社は多くの社員を出して、学術集会の運営もサポートしています。さらには、夜のプログラムとして開かれるパーティの費用の一部も製薬会社が負担することがあります。かつては、医師たちにタクシーチケットが配られ、開催地の観光や宿泊の費用まで製薬会社が出すことがあったそうです(現在はガイドラインがつくられ、一定以上の利益供与は規制されています)。

このように、製薬業界の協力なくしては学術集会が開けないほど、各医学会は製薬マネーに依存しています。考えてみれば、これほど特定の業界から多額の利益供与を受けている学問領域は、他にないのではないでしょうか。たとえば、人文科学系や社会科学系の学術集会が、高級ホテルで行われているという話は聞いたことがありません。

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