昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

18歳を過ぎた子供にいちいち干渉する親は、だれしも「毒親」になる可能性がある

source : 提携メディア

genre : ニュース, 教育, 社会

親子関係とはどうあるべきなのか。哲学者のマルクス・ガブリエル氏は「家族とは他者の集まりで、子どもは宇宙からの移住者のようなもの。親が自分で思っているほど、子どもにとっての親とは重要な存在ではない」という――。

※本稿は、マルクス・ガブリエル著、大野和基インタビュー・編、月谷真紀訳『わかりあえない他者と生きる』(PHP新書)の一部を再編集したものです。

写真=iStock.com/itakayuki ※写真はイメージです - 写真=iStock.com/itakayuki

家族は「他者」の集まり

今回は、最も身近な他者である「家族」についてお話ししたいと思います。まず大きな前提として、実は家族はそれほど均質的ではありません。しかし家族は均質的であるという考え方がありますね。これはまったく間違った考えです。

家族が均質的ではないのは誰もが知っているはずです。

親族の集まりで必ず揉め事があるのはそのためです。親族の集まりで揉める理由の1つは、家族は均質的だという私たちの思い込みです。でも叔父さんは同質ではないとわかったりする。今ドイツでは叔父さんたちの中に陰謀論者がいることが発覚して騒ぎになったりします。だから、家族はそれほど均質的ではないのです。

しかし明らかに、少なくとも家族はより深い何かを共有しているという考え方がある。そしてもちろん、家族内には社会にない親密さがあります。家族という私生活や親密さと社会全体という公共空間には当然、違いがあります。しかし実際には親子間、家族内でも他者との共存を学ぶ必要があるのです。

家族も社会も非均質的な集団

例えば子を持ち、親になることは、子どもが自分のものではないことを徐々に受け入れていくことです。

私の子どもたちは私のものではありません。

しかし子どもがごく幼くて非常に密着したつながりがある間は、子どもが自分と融合していて、子どもは自分のものであるという考えを持つかもしれません。しかしどんな愛情関係にも言えますが、大事なのは他者との融合などないと理解することです。愛は相手がいなければ生きていられない人同士の関係ではなく、相手がいなくても生きていける人同士の関係だと、シェリングも言っています。