最終回が目前に迫るNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」。親子3世代・100年にわたる愛の物語は、どのような結末を迎えるのか。「週刊文春」はこれまで何度もカムカムについて報じてきた。最終回を控えた今、読み返したい記事をあらためて公開する。文春でしか読めぬものがある――。(初出:週刊文春 2021年12月23日号 年齢・肩書き等は公開時のまま)
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「安子の姑」の本当の顔
姑として安子を鬼の形相で睨みつけたり、生還した算太をそっと抱きしめたり……その演技が好評を博したタレントのYOU(57)。ところが、本人はーー。
85年、アイドル歌手としてCDデビューしたYOU。90年代に「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ系)に出演して以降、バラエティタレントとしても活躍してきた。そんなYOUは何しに朝ドラへ?
「是枝裕和監督の映画『誰も知らない』(04年)では、4人の子どもを捨てる母親を演じるなど、実は女優としての評価も非常に高いんです」(映画関係者)
「カムカム」で演じたのは、稔を溺愛する母・美都里役だ。多くの出演者が苦戦した岡山弁も、独特の方法で役作りしていたという。
岡山弁指導を担当した高野暢子氏が明かす。
「YOUさんは『私は役者ではないので、先生が岡山弁を音声データに吹き込んでくれたら、その通りにやりますので』と言って下さって(笑)。でも、もともと歌手の方で耳が良いから、そのスタイルできちんと演じられていました」
一方、休憩中はバラエティタレントとしての本領も発揮していたようだ。
制作統括の堀之内氏が振り返る。
「YOUさんは、格式が高い雉真家の妻役だったのですが、よく『私こっち(雉真家)じゃなくて、橘家のほうがいいな〜』『私、庶民派なんだけど』とおっしゃってました(笑)」
YOUには成人した一人息子がいるが、
「ドラマでのピリピリした嫁姑関係とは逆に、YOUさんは萌音ちゃんのことが大好きだった。『是非、うちに嫁に来てほしい』とおっしゃるくらいで(笑)」(同前)
子役たちには、“男選び”のアドバイスも。
「YOUさんはハイソな雉真家の妻を演じていたので、子役の女の子たちに『将来はお金持ちの男と結婚しなさいよ』と冗談交じりに言って、周囲を笑わせていました」(前出・高野氏)
現場のムードメーカーだったYOU。だが堀之内氏によれば、毎回撮影後にこんな言葉を口にしていた。
「私、とても朝ドラなんて不向きと思うので、今回は降板させて頂きます。さようなら、皆さんともう会うことはないと思います」
するとスタッフたちが、
「また来週〜」
と口を揃えて、見送るのが恒例だったという。