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それができるのが、本当の「賢さ」かなと思います。

【和田】人間の脳って、不思議なことにいろいろな形でロックがかかっちゃうんです。そういう生き物なんだよね。それがある限り、どんなに金があろうが、社会的地位が高かろうが、たぶん「つまらない」と思ってしまうのではないかなあ。

ゲームみたいなもので、「肩書を得るゲームで教授になりました」とか「首相になりました」というのもいいのですが、その「なった瞬間」がいちばん楽しくて、そこで終わってしまう。

【中野】上がり、ゴールですよね。

【和田】そう。でも、そうじゃなくて、「首相になったらこんなことやろう」とあらかじめ考えていて、実際になってからそれを実行したら、もっと首相であることを楽しめる。そういうことって、たくさんあると思うんですよ。

不安の強い人はバイアスがかかりやすい

【中野】脳にブロックがかかってしまうということで言うと、その人の不安が強いか、危機が迫っているときは、どうもバイアスがかかりやすくなるようなんです。

遠くまで見通すことができなくなり、「とりあえず目の前のことを乗り越えよう」という気持ちが強くなる。長期的に見て得なほうを選べなくなってしまうのは、もったいないですよね。

ただ、それと同時に、もしかしたら集団をまとめようとする人にとっては、人々がそういう状態になっているほうが都合がいいということもあるように思えてきます。

【和田】だと思いますよ。僕なんか、もともとものすごく疑い深い人間だから、いまみんなにマスクをかけさせていることひとつとっても、疑います。

本来、感染予防のためなら、それこそ布マスクは禁止すべきです。だけど、「上が何か言ったら言うことを聞く人間かどうか」のテストのために、みんなにマスクをさせているように思えてならない。とすれば、布マスクだろうが不織布マスクであろうが、何でもいいわけですよ。

「生贄」は便利な道具

【和田】従順な人間たちをまとめるのって、不安とか危機のある時期がやりやすい。戦争のときだってきっとそうでしょう。