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【河合】それが理想というより、そうせざるを得ないのです。昭和30年代くらいまでは東京でも味噌や醤油を貸し借りしたり、自分の庭の雑草を取るついでに隣の雑草を毟(むし)ったりしていました。多くの人が貧しかったので、当たり前のことでした。こうした庶民同士のゆるやかな絆(きずな)を、ある程度取り戻していくしか残された手はないと思います。

「一発逆転で資産を増やしてやろう」は要注意

【河合】幸運にも元手(もとで)のある人は、前述の自衛手段「②資産運用」も選択肢となります。わずかながらも運用益が定期的に入ってくるのは心強いものです。

注意すべきはハイリスク・ハイリターンの金融商品に、定年退職後に手を出すことです。万が一、運用損となった場合、若い頃であれば収入もそれなりにあるので当座の暮らしに困窮することもありませんし、損した分を取り戻す時間的な余裕もあります。しかし、収入が減ってしまった高齢期の運用では、それができません。

一攫千金を狙って退職金を原資に投資した結果、「株が暴落して大損をしてしまった」などという失敗談も聞きます。それこそ取り返しのつかないこととなりかねません。リスクを覚悟した資産運用は、現役時代にすませておくことです。高齢期にも続けるのであれば限度額を決めておくか、リスクの大きくない商品を選ぶのが無難です。

【牧野】あせって無理をする典型ですね。FX(外国為替証拠金取引)に成功した人が書いた本などを読み、「俺も一発逆転で資産を大いに増やしてやろう」などと実行に移してしまう例です。退職金を元手にワンルームマンションやアパートに投資する人もいます。いずれも昭和・平成の発想です。会社員は一度に多額のおカネを手にしたことがないせいか、気ばかりが大きくなって失敗するのです。

おっしゃる通り、この年代になるとリカバリーできる可能性はほぼゼロになります。自分の身の丈にあった老後設計が求められます。