昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

source : 提携メディア

genre : ライフ, 人生相談, 経済, 社会

親の財産を子供が受け継ぐ“常識”も変わっていく

【牧野】 不動産と相続は密接な関係にあります。実は、相続の評価額は、現金よりも同じ金額を不動産で持つほうが安くなることが多いのです。というのも、土地は前述の路線価で評価されますが、路線価は時価と言われる公示価格のおよそ8割の水準に設定されています。

また、建物は固定資産税の評価額が採用されますが、再調達価格の7割程度で評価され、減価償却分も考慮されるため、実際の土地・建物の時価よりもかなり安くなるからです。こうした不動産の持つ特性が、金融資産を貯め込んだ高齢富裕層の人気を博しています。そして、それが東京の新築マンションマーケットを歪(ゆが)める構造になっています。

【河合】「親の遺産を相続すれば老後資金は何とかなる」など、捕(と)らぬ狸(たぬき)の皮算用をしている人も多いことでしょう。「相続=親の財産を子供が受け継ぐ」と考えている人が多いと思いますが、2030年頃になると、こうした“常識”も廃(すた)れることになるかもしれません。「人生100年」と言うほどに長寿となり、親が90代半ばで子供が70代というケースが珍しくなくなるからです。

「人生100年時代」は親も子供も金銭的自立が必要

60代後半や70代になると亡くなる人も増えてきますので、必ず親のほうが先に逝(ゆ)くとは限りません。遺言を書くのも複雑になりますよね。現在は大概、親が先に亡くなることを前提として書かれているでしょうが、今後は年老いた子供も親も同時に遺言を準備する時代となります。

それはすなわち、親の遺(のこ)した財産を自分の老後資金として当て込めなくなるということでもあります。相続できたとしても70歳前後となってからになります。「人生100年時代」とは、90代まで生きる親も高齢者となった子供も、それぞれが金銭的に自立できるよう準備をしておかなければ回らなくなる社会ということです。