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90代まで生きる人が増えてくるにつれて、老後資金が足りなくなり、資産を切り売りせざるを得なくなる人(親)も増えることでしょう。いざ遺産相続となった際、残っていた財産が意外と少なかったということになりかねません。

2030年代後半になれば3軒に1軒は空き家になると推計されているのですから、実家の土地・建物にはほとんど資産価値がなくなっていたということも、日常の風景になるかもしれませんね。

極小ワンルームが単身高齢者の住み家になる

【牧野】大量相続時代には思わぬ副産物もあります。高齢者の住環境の好転です。家という基本的な居住空間が確保しやすくなるのです。現在は高齢者、特に収入のない1人暮らしの高齢者が家を簡単に借りられない状況にあります。家主が家賃の滞納や孤独死を恐れて、貸さないからです。

しかし、大量相続により家が余るようになると、家主と借主の立場が逆転します。家賃も下がるでしょうから支出が減り、可処分所得が増えることになります。不動産市場では現在、ワンルームマンションが余り気味です。これまでの主たる客層だった若年層が減り、ワンルームマンション投資時代に大量に造られた物件もあります。ワンルームマンションの家賃は安いですし、狭いために動き回らなくていい。高齢者向きなのです。

最近、デベロッパーが若年層向けに開発した賃貸マンションで、空室率が急上昇しています。特に都心へのアクセスが良い割に地価が比較的安い城東地区では、空室がまったく埋まらないことが報告されています。さらに、相続した一戸建て住宅を賃貸に回す動きも今後加速するでしょう。このようななかで、大量相続時代を迎えることになるわけですから、いっそうの値崩れが予想されます。

牧野 知弘(まきの・ともひろ)
不動産プロデューサー
1959年生まれ。東京大学卒業。第一勧業銀行(現:みずほ銀行)、ボストン コンサルティング グループ、三井不動産などを経て、2006年日本コマーシャル投資法人執行役員に就任しJ-REIT(不動産投資信託)市場に上場。15年オラガ総研株式会社を設立し、代表取締役を務める。全国渡り鳥生活倶楽部代表取締役。主な著書に『空き家問題』『ここまで変わる!家の買い方 街の選び方』(いずれも祥伝社新書)、『不動産の未来』(朝日新書)など。
河合 雅司(かわい・まさし)
作家・ジャーナリスト
1963年生まれ。中央大学卒業。産経新聞社入社後、同社論説委員などを経て、人口減少対策総合研究所理事長。高知大学客員教授、大正大学客員教授のほか、厚労省など政府の有識者会議委員も務める。2014年の「ファイザー医学記事賞」大賞をはじめ受賞多数。主な著書にベストセラーの『未来の年表』『未来の年表2』『未来の地図帳』(いずれも講談社現代新書)のほか、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)など。

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