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2022/04/19

「ファースト・パンプス」

 “実践”の第一歩は2014年、中学1年生の夏休みだった、と私は見ている。その年の7月28日から、ご一家揃って出かけられた伊勢神宮参拝だ。

 ご一家が降り立つ近鉄宇治山田駅や、内宮に続く道路には多くの人が集まった。私は内宮に続く宇治橋のたもとにいた。ご一家を乗せた車列は17時過ぎに白バイに先導され、ゆっくりと私たちの前を通り過ぎていったが、車中ではずっと窓を開けて、ご両親だけでなく、愛子さまも人々の歓迎に応えていた。周囲では「愛子さま、初めまして~。大きくなられました~」といった声が次々に上がり、人々の興奮はクライマックス。クリーム色に白い襟のワンピースを着た愛子さまは、ご両親に倣って沿道の人々の方に体を向け、指を広げ力強く手を振り、弾けるような笑顔で会釈を繰り返した。初等科時代もご静養先などでお手振りをされる機会はあったが、恥ずかしそうでぎこちなかったことを思うと、ご成長ぶりに私は感激した。

宮内庁提供

 ご一家は内宮内の斎館に宿泊され、地元の割烹料理店が作った揚げ物や煮物、鮪のお作りが詰められた松花堂弁当を召し上がったという。

「メニューを決める際、宮内庁と店側が何度もやり取りし、『愛子さまにはスパゲティでもハンバーグでも何でもお好きなものをお作りします』と申し上げたところ、『両殿下(当時)と同じものでお願いします』と宮内庁側から返答があったそうです。わがままを言わないお子さまだと感心しました」(地元関係者)

 中等科2年生となられた2015年の夏には、2つの戦争関連の企画展をご覧になった。愛子さまが戦争関連の催しにお出ましになるのは初めてのことだった。

 7月26日、ご一家がまず訪れられたのは、東京・九段下の昭和館で開催されていた「昭和20年という年~空襲、終戦、そして復興へ~」。私は会場前の歩道から取材したが、真夏の太陽の下、黒山のひとだかりで熱気がむんむん。うだるような暑さだったが、愛子さまは薄いピンクのセットアップ。ショート丈ジャケットの肩口にはふわっとギャザーが入っていた。スカートでストッキングに白いパンプス。赤ちゃんが最初に履く靴を成長を祝う意味をこめて「ファースト・シューズ」と呼ぶが、この日は私が見た愛子さまの「ファースト・パンプス」だった。

2015年夏、昭和館を訪れられたご一家 ©JMPA

「ご一家はまず、3階にある特別企画展の会場で昭和天皇の玉音放送をお聞きになりました。その後、国民学校の女子児童が玉音放送を聞いた後に書いた、《先生からくわしいわけをお聞きした時、わたしは泣けて泣けて仕方なかった》という作文をご覧になり、愛子さまは神妙な面持ちで、熱心に見入られていました」(宮内庁担当記者)

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