この年は8月にも、ご一家で千代田区立日比谷図書文化館で「伝えたい あの日、あの時の記憶」という戦争関連の企画展を見学された。
天皇退位と愛子さまのご自覚
こうした“実践”はさらにステップアップしていった。一つのきっかけは、天皇(現上皇)陛下の生前退位だ。NHKのスクープで退位のご意向が明らかになった2016年の夏、愛子さまに国民からの視線を強く意識するような変化が見られた。中学3年生の夏休みだった。
だが他方で、この頃、愛子さまが急にスリムになられたのに気付かなかった記者はいないだろう。私が最初に「おや」と思ったのは、NHKの報道から8日後の7月21日、奈良・京都ご訪問のときだ。
その日、ご一家は3人おそろいで東京駅の東海道新幹線のホームに姿を見せられた。愛子さまはもともと背が高くて手足が長い。このときの愛子さまはさらに足を長く見せるハイウェストの水色ワンピースをお召しになり、ご夫妻の後ろから胸を張って颯爽と歩き、新幹線に乗り込まれた。長年の皇室ファンはこのときの対応に驚いたという。
「こういう場面ではいままで、警備の方から『写真を撮らないで』とさんざんご注意があったし、雅子さまと愛子さまも発車までの間、視線が泳ぐというか……、所在なさそうだったの。でもこの時はホームに向かって1分間くらい、カメラ目線で手を振ってくださった。こんなことは初めてでした」
訪問先は初代天皇を祀った神武天皇陵(奈良県)。愛子さまにとっては初めての参拝となった。参拝後、ご一家は京都大宮御所で1泊された。
「ここは天皇皇后両陛下と皇太子同妃両殿下が京都市内にお越しになるときにお泊まりになる場所です。宮家の皇族は宿泊できない。愛子さまは東宮家のお子様ならではの経験をされたのです」(別の宮内庁関係者)
天皇陛下が退位の意向を国民に知らせた「象徴としてのお務めについて」のお言葉を述べられたのが、8月8日。翌々日の10日、愛子さまはご両親とともに「第1回『山の日』記念全国大会」ご臨席のため、長野県松本市を訪れられた。JR中央線の車内では上高地の自然についてご両親から教わっていたという。
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