介護では、家族の中で一番力の弱い人にしわ寄せがいきます。最近、問題になっているヤングケアラーは、まさにその典型でしょう。
自分の中で解決策を探しても見つかるわけがない
こじれた人間関係が、自分ひとりの努力や愛情でどうにかなると考えるところから、まず一歩離れてみる。家族であろうが、恋愛相手や友人であろうが、年齢も性別も職業も「情」も関係なく、その人を冷静に見る。そういった訓練をしないと、状況を正しく判断できません。
そこから、その人間関係を自分の力でどうにかできるのか、できないのか。
枠組みを変える余地があるのか。それとも、関係を切るのかどうか。
冷静に考えていくのです。
このとき大事な視点が、家族から国家まで、どんな集団であっても、人間関係の基本は「政治」だと考えることです。つまり、すべての人間関係の底には「利害関係」と「力関係」が働いていると見とおすのです。
そこをきちんと見なければ、正しい状況把握はできません。
「いや、家族は愛情という絆で結ばれているだろう」と反論する人もいます。
しかし家族間であっても、利害関係と力がからんだ政治であることに変わりはありません。
人間関係を考えるとき、多くの人は「自分」の枠の中だけで考えます。そして「記憶」と格闘しています。もし、その記憶で他者との関係が正確に捉えられていれば、問題を考える材料にはなるでしょう。
でも、そこに自分の感情や自分の視点しかなく、「なぜ自分はうまくいかないんだろう」と自問自答しているだけなら、意味はありません。
閉じてしまった自分の中で、他者との関係を無視しながら解決策を探しても、見つかるわけがないのです。あるいは、ひとりよがりな解決策しか出てこないでしょう。
事態を正しく認識するためには、記憶との格闘をやめ、感情と距離をとって問題を考える必要があるのです。
悩みは人間関係の中でしか生まれない
私のもとに相談に来られる方には、2つのタイプがあります。