入居者さんへのバイタル測定、胃ろう、痰を取るなどの看護はずっとしてきたこと。手順や段取りも体にしみついているので、年齢を重ねた今も、スムーズに動くことができています。
80代はまだまだ体が動いたけれど、90歳を超えたら、仕事中に「えらいな(=しんどい)」と思うことも出てきました。でも、口には出さないし、休むことはしません。
担当する訪問看護が終わって時間ができたときは、体温計を拭くアルコール綿などの材料作りをしています。決められた時間内は、きちんと働くようにします。
手があいたとしても、仕事に関係ない雑談はしません。職場の雰囲気がだらしなくなるので、雑談は休憩時間にします。昔からずっと心がけてきたことですが、今の職場でも守っています。先輩として、職場の雰囲気作りには貢献したいと思っています。
年を重ねたからこそできる仕事がある
入居者さんとは同世代ですので、気持ちも理解できるし、会話ができなくても打ち解けられることもあります。
看護をするときに、相手の気持ちを考えて話しかけたり、話を聞いたりすることを心がけています。それは、年を重ねたからこそできる、私の仕事なのかなと思います。
胃ろうの人たちは話すこともできないし、意思表示もあまりないですね。いつも、「ご本人たちはどういうふうに思っているんだろう」と、考えながらしています。
話をすることはできなくても、その人の部屋に入ったら、「おはよう、○○さん」と顔を見ながら声をかけます。「ああ〜」と言うだけの人もいますが、顔はこちらを向けてくれます。
手を握って冷たいときは、「お布団の中に入れとき。あったかいで」と話しかけることも。
唇が乾燥しがちな人にクリームを塗ってあげると、気持ちがよかったのか訪問のたびに口をあけて待っているように。
話はできなくても、コミュニケーションはとれているのかなと思います。
足手まといになったら退く覚悟で
いちしの里で働き始めた頃は、80代。まだまだ元気でフルタイムで働けました。でも、80代と90代は違います。やっぱり体がえらい。