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「『仕事のうえで無数にくる要望や指示の8割はやらなくてもよい』と割り切り、着実に早く仕事をすることを心がけてきた」

「8割」というのは驚くような割合です。

そんなにスルーしたら上司や顧客に怒られるし、そんなことはありえない、と思うかもしれません。しかし、その方は現に大企業の社長になり、成果も上げられています。

企業にとって不可欠な「やり過ごし」という機能

本当にスルーしても社長になれるのか? という疑問に答えてくれるものとして、東京大学の高橋伸夫教授が書いた『できる社員は「やり過ごす」』(日経ビジネス人文庫)という本があります。

高橋教授はある時、企業には「やり過ごし」というものが存在することに気づき、実際に三十数社から数千人のデータを集めてみたそうです。

すると、63.1%の人が「やり過ごし」があると答えたそうです。さらに、企業によってはその比率が9割にも及ぶことがわかったというのです。

高橋教授によれば、「やり過ごし」が会社にとって不可欠な機能とのことでした。指示、命令に含まれる問題のやり過ごしによってフィルターすることによって組織が機能不全に陥ることを防ぎ、さらに結果として自分の頭で考えることで社員も育つと分析しています。

まったく「やり過ごし」をしないと、どうなるか

このような研究を見ても、まだ私たちは「そうはいってもスルーするのは難しいし、まずいんじゃないの?」と思ってしまいます。

高橋教授も当初は「そんなことはあり得ない」「やり過ごしなどあってはならない」と反発やお叱りを受けたりしたそうです。

もしそのお叱り通りであれば、スルーなどありえないですし、スルーしないほうがうまくいくことになります。

実際にスルーせず、言葉通りに実行する人たちがいると仮定してみましょう。

例えば、上司が怒って「家に帰れ!」と言ったら、本当に帰ってしまう。社交辞令で「今度飲みに行きましょう」と言われたら、後日電話をかけて「いつにしましょうか?」と相手に確認する、等々。

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