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依頼者の孫にランドセルを贈ることも…

これについて杉山氏に聞いてみると、「ご自身が亡くなった後に、お孫さんにランドセルを贈る方がいらっしゃいました。残念だけど、自分はそれまで生きていられないからと。私どもで代行して、お孫さんの入学時に『おじい様から、これでランドセルを買ってくださいと、お渡しするように頼まれております』とお祝い金をお送りさせていただきました」と語り、さらに続けた。

「他には、ご自身の三十三回忌までを頼まれた方もいらっしゃいましたね。この方はお子さんがいらっしゃらない方でしたが。もうすでに私どもで十三回忌のご供養をさせていただいております」

「子どもと絶縁している契約者さんで、このサービスを利用して、死後に子どもと和解につながるようなお手紙などを託された方はいらっしゃらないですか?」と聞いてみると、「それはないですね。でも、そういう使い方もあるんですね。ぜひ、このサービスを、そういうふうにお使いいただけると嬉しいです」という答えが返ってきた。

絶縁した娘に遺した「恨みの手紙」に書かれていたこと

絶縁している親で、子どもとの和解に歩み寄る努力をしている人の話をほとんど聞かない。最期まで子ども側が歩み寄るのを待っているようだ。

死後に、絶縁した娘宛てに長い手紙を遺した母親がいた。その手紙は彼女が娘から受けた傷がどれほど深いものであったかを訴える、恨みの手紙だった。

他のきょうだいに遺した手紙にはその娘にされたことが詳細に書き遺されていたが、娘に聞くとまったくのデタラメで、母親は死後まで自分を正当化するためにありもしないことを「呪いの手紙」に書き遺して、逝ったのだという。

その手紙の話が、心に突き刺さっていた。その母はなぜ、そこまでして死んだのだろう? その手紙が母という人の立場を良くすると思っていたのだろうか?

母親が我が子たちに遺した手紙が、きょうだい間の確執をさらに深めたのは言うまでもない。